文理開成高校倒産の理由

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千葉県の私立学校、文理開成高等学校が倒産しました。倒産の理由を見ると、生徒の定員割れだけでなく、金銭の流用などにより信用不安が起きていたことが分かります。

(1)学校法人村山学園の倒産

文理開成高等学校、倒産の理由を帝国データバンク2013年2月21日が、私立「文理開成高等学校」(千葉県)経営の村山学園が民事再生と報じているので見てみましょう。
学校法人村山学園(TDB企業コード260325881、資産総額5億8335万3315円、千葉県鴨川市横渚815、代表理事長鈴木淳氏、従業員40名)は、2月20日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。
学校法人が倒産しましたが、資産と言っても校舎や学校の土地であれば、簡単には現金化できるものではありません。学校経営は、税金が安くなるなど生徒数が安定していて、収入が多ければメリットはあると思いますが、定員割れになるほどであったため、資金繰りは安定していなかったようですね。

子供のいる保護者の方は、教育は投資になりますので、教育資金の準備や塾に対して支出をしている人が多いと思います。私立高校に進学するときに、学資保険があればよいですが、お金がない人は奨学金や教育ローンを活用して子供に投資しているという口コミが増えているようですね。
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(2)文理開成高等学校は進学校ではない

  • 1929年(昭和4年)4月創業
  • 1951年(昭和26年)2月に法人改組
  • 文理開成高等学校の普通科と通信科を経営
  • 生徒数約460名(2012年7月時点)
  • 普通科 特別進学コース、医歯薬進学コース、大学進学コース、普通コースと通信制課程
  • 大学・短大進学が約30%、専門学校入学・就職が約70%
文理開成高等学校は倒産しましたが、生徒の進路を見ると進学校ではないですね。少子化により、学校経営にとって進学先やその人数が、保護者や受験する生徒が学校を決める大きな要因になっています。

文理開成高等学校は、進学校として私立学校経営を立て直そうとしたようですが、失敗したようですね。私立高校の中には、高い進学実績やスポーツの実績によって入学者を増やす学校がありますので、文理開成高校の戦略は一般的であると言えそうです。

(3)進学校にすることで業績改善をはかる

創立からの長い歴史や地元周辺での地名度はあったが、地元経済の停滞による私立高校離れや少子化の影響などから定員割れが続き、厳しい経営を余儀なくされていたことから、前々理事長が当法人を買収して当校の改革に乗り出し、普通課の設置や教師に試験を課しての大胆な入れ替えを行うなど、進学校とするための運営に注力していた。
文理開成高校は、知名度はあったものの定員割れが続いていたようですね。
  • 長い歴史や地元周辺での地名度があり
  • 私立高校離れや少子化の影響などから定員割れ
  • 前々理事長が買収して改革
  • 進学校とするための運営に注力
文理開成高校は、進学校として生き残る道を選んだようですが、残念ながら失敗したようですね。

(4)特待生の増加と教員採用で経営悪化

しかし、生徒数の増加に繋がらなかったほか、授業料免除の特待生の増加や受験指導に優れた教職員を多く採用したこともあり経営は一層悪化。現校名への変更に加え、2012年8月には副校長であった中島宗一氏が代表理事長に就任した経緯がある(2013年1月現代表理事長に交代)。
文理開成高校は、特待生の増加で、進学実績をあげてようとしていることが分かります。優秀な生徒の獲得は重要で、進学実績に即効性が見込めるように見えますが、進学実績として宣伝する効果がでるのは3年以上先になります。

国立大学の大学入試で考えると、二次試験は3月頃ですので、事実上4年以上投資回収に時間がかかります。文理開成高校の進学実績を宣伝するためには、生徒募集期間を含めれば4年が必要になるため、経営悪化の中で特待生が増加すると、資金繰りが苦しくなるのは当然ですね。

(5)経営は黒字転換 補助金凍結で問題発覚

2011年3月期には生徒からの納付金が減少したものの、雑収入や寄付金が大幅に増加したことから収入高は6億700万円を計上。 
収益面では3期連続の赤字決算から黒字決算に転換したが、依然として定員割れが続くなかで、2012年12月には千葉県が当法人に対して翌年度の生徒募集を見送るよう指導し、学校運営に充てる12月分の補助金約4000万円の交付を凍結、経営難が表面化した。
文理開成高校の再建を、千葉県が妨害しているように見えますが、資金流用の不正があったことが原因ですね。文理開成高校だけでなく、私立高校や私立大学にとって、国からの補助金は貴重な収入になっています。

千葉国際高校 倒産民事再生の理由をまとめましたが、施設建設のための長期借入金を返済できなかったようですね。文理開成高校は進学実績に力を入れていましたが、千葉国際高校はスポーツに力を入れていたことが、経営の違いとして比較できます。

(6)文理開成高校が、給与未払いや預かり金流用

教職員への給与未払いや教職員共済(預かり金)の学校運営資金への流用、教職員の相次ぐ退職などの不安材料も明るみとなった。
文理開成高校の経営実態について、2012年12月19日の産経新聞がくわしく報じているので見てみましょう。
  • 2012年6月に教員への給与未払い、7月に県が学校の運営状況を調査
  • 職員から天引きして徴収した社会保険料を学校の運転資金に回しており、未納額は約7千万円
文理開成高校は、倒産前に運転資金が不足している兆候がすでに現れていますね。給与未払いは、どの業種でも倒産の兆候の一つです。
この経営状況を知らずに、文理開成高校に新しく生徒が入学して、倒産すると目も当てられませんね。

(7)スポンサーの選定

こうしたなか、保護者会から学校存続を求めた嘆願書が県知事や鴨川市、市議会に提出されたほか、支援先の確保を進め、1月には神奈川県横浜市の学校法人が経営参画し、当校を存続させることが内定していた。負債は約7億円。
文理開成高校倒産の理由を見ると、運転資金が不足しており、私立学校経営の建て直しの難しさが分かると思います。私立高校は、倒産のリスクがあります。保護者は、特待生制度があったとしても、学校法人の経営リスクを受験の際は、可能な限り見る必要があるのかもしれないですね。

堀越学園 解散理由と倒産を見ると、文理開成高校は支援先を探しており、学校存続と生徒に対する姿勢がかなり違うことが分かりますね。学校の倒産が相次いでいますが、教育は子供への投資になりますので、高校受験は極めて重要であると言えます。
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8 件のコメント:

  1. 当然、引き継いだ八洲学園は、元理事に退職金を支払うべきです。今まで、債務も引き継がず、退職金も払わず、理事交代の際の条件として公約を守らないで民事再生にするなんて、聴いたことがありません。ハゲタカとはまさにこのことなのでしょう。今までに、まったく前例のない異例の理事交代です。教育に関る物として、考えられません。

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    1. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      文理開成高校は、学校法人が退職金を支払っていないのですね。

      企業の社長は、学校法人であれば理事長に相当しますので、理事長は重要な仕事ですね。
      学校法人の理事は、理事会で経営に関わる内容が話し合われますので、人事が極めて重要になることが分かります。

      文理開成高校の新しい理事は、公約の遵守に失敗したのですね。
      文理開成高校のように、学校法人は少子高齢化で経営が厳しくなっていますので、経営者を誰にするのかは、生徒へ提供できるサービスなどに大きな影響を与えますね。

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  2. 千葉県の私立学校、文理開成高等学校が経営難により引き継がれ理事が交代した。債務を引き継ぐ条件で運営を交代したはずだった新理事は、当初の約束を守らず交代後に、学校を民事再生にした。しかも前理事長に債務の保証人を残したまま学校だけ持っていったのだ。そして再生後に学校を高く売却予定とのこと。前理事長は自宅を担保に文理開成の債務が大きく残され、自宅の売却に追われている。条件を守らず引継ぎ、新理事が民事再生にしたことをまるで、前理事がしたかのような誤報を流し、しかも学校をビジネス化っしているその行為は、教育にかかわるものとして許しがたい。今回のスポンサーの選定は完全に失敗であったといえる。スポンサーは他にもいたのだ。民事再生にされるというスポンサーに、誰が交代を認めただろう。騙されたとしか言いようがない。気の毒である。

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    1. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      前理事長は、経営を引き継いだときに、連帯保証人の交代をしなかったのですね。

      学校法人は、経営しているわけですから、経営者がどのように対応していたのか気になるところですね。
      借入は銀行と思いますが、連帯保証人の交代についても、話す必要があると思うわけです。

      匿名さんの仰る話は、私なりに咀嚼したところ、前理事長と理事長でどのような話し合いがあったのか気になっております。
      前理事長が、理事長に対してスポンサーになることを依頼したのであれば、民事再生後のスポンサーになることも一つの型になるからです。

      他人から借金をしていれば、返済することは義務かと思います。
      前理事長と理事長の間の話は不明ですが、何か今後の対応があるとすれば、そこが大事なところなのかと思います。

      学校法人は、ビジネスであると思うのですが、教育目的は大事なのかと思います。
      スポンサー選定は、総合的な判断と思うのですが、債権者をどのように債権者会議で納得させたのかは気になりますね。

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  3. 学校運営機構は文理開成高校を民事再生にし、学校をビジネス化して売買するために作られた株式会社であり、それを後ろで操っているのが、八洲学園の理事長だったということがわかった。

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    1. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      学校法人は、多額の前払金で、財テクのようなことをやっているところもありますね。

      学校は、教育機関ですが文部科学省の天下りは多いですし、何ともいえないものがありますよね。

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  4. ウィキペディアに下記のように書かれている。
    2013年2月21日 - 設置者の学校法人村山学園が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、保全命令を受けた。2013年2月現在の負債額は約7億円[7]。これも誤報である。実際は引き継いで交代した新理事、八洲学園と、学校運営機構の理事が村山学園の新理事に交代し民事再生の手続きをとったのである。
    この書き方では、まるで、旧理事が民事再生にしたかのように受けとれる。本当にずるがしこく巧妙な手口である。

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    1. >匿名さん
      旧理事と新理事が、民事再生をしたのは、違いが非常に大きいですね。

      銀行借入のときに、旧理事が、どのような約定を締結していたのか気になるところです。
      銀行など債権者との交渉経緯が、債権者会議などで明らかになれば、別の側面に注目が集まるのかもしれないですね。

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