(1)電力会社の経営悪化と融資保証
会社が銀行融資を受けるときに、倒産対策として不動産担保や連帯保証を求められることがよくあります。電力会社は巨額の資金が必要ですが、日本原電は単独で巨額の融資を行うことができないため、大手電力会社が債務保証を行っています。個人ローンであっても、カードローンや住宅ローンで保証会社が保証を行っています。カードローンを事例に考えると、無担保無保証ですが保証会社が保証を行うことで、個人の返済能力を補完していることが分かります。
スポンサードリンク
(2)東京電力の分社化
- 持ち株会社 親会社
- 燃料・火力会社 子会社 資産1.5兆円
- 送配電会社 子会社 資産5.5兆円
- 小売り会社 子会社 資産数十億円
東電の分社化により経営資源の最適化ができれば、企業の業績が改善して税金負担が減少したり電気料金が値下がりする可能性があります。東電の債権者からすると、融資の返済リスクが増す可能性がありますので、金融スキームが重要になります。
電力市場自由化の動向 新規参入企業の経営比較を見れば、大手企業は電力自由化を見越して、新規参入と多額の投資を行っています。東電の融資返済は、顧客が値上がり要求を受け入れる前提のため、公的資金返済と融資返済は遅れる可能性が高まっていますね。
(3)東京電力の持ち株会社化 子会社の融資保証
- 子会社を融資保証から外す要請 東京電力 原子力損害賠償機構
- 子会社を融資保証の対象にする 銀行などの金融機関
東芝 粉飾決算の真相をまとめましたが、巨大企業が経営危機のときに、メガバンクの経営に与える影響は極めて大きくなります。東電や東芝が倒産すれば、銀行や取引先に甚大な影響があるため、日本は波風を立てないようにする傾向があります。
東電の分社化後を考えると、送電線などを保有する送配電会社が資産5.5兆円となる一方、小売会社は資産数十億円となっています。発電所を保有する会社は電力会社、ガス会社、鉄鋼会社などありますので、東電など電力会社にとって送電会社が資産面と機能面から極めて重要になることが分かります。
(4)銀行融資の保全と債務保証
- 銀行の無担保融資を一般担保付私募債に切り替え、返済順位の引き上げ
- 分社化後の子会社が持ち株会社の融資に連体保証を行う
大手銀行は企業の経営が悪化したときに、株式の売却や子会社売却、不動産担保を新規に求めることを行います。電力会社が倒産したとき、電力債への債務償還が優先されるため、銀行融資の回収は困難であり不良債権リスクが極めて高いです。
東電の無担保融資は不良債権リスクが高まっているため、銀行融資の一般担保付き私募債に切り替えを進めており、返済順位の引き上げが進んでいます。東電の電力債(一般担保付社債)や一般担保付私募債は、東電の発電所や送電線など電力事業を担保にしていますが、分社化後の子会社が保証しなければ曖昧になります。
(5)東電の銀行融資 債権放棄と子会社分離
- 東電の債権放棄
- 東電の子会社売却
- 東電の子会社上場と分離
東電の負債削減を考えると、東電分社化後に子会社が独立していくのが有力になるでしょうね。東電子会社に対して、銀行が持ち株会社への融資保証を求めている理由は、東電子会社の分離独立による銀行融資の踏み倒しに危機感を抱いているということでしょうね。
東京電力タックスヘイブンの闇 民主党の破綻をまとめましたが、会社更生法を申請していれば、銀行の融資債権は不良債権化しており融資回収は困難でした。東電は、民主党により倒産していないですが公的支援の際の資産査定が甘く、東京電力と民主党の密接な関係が分かります。 スポンサードリンク
0 件のコメント:
コメントを投稿