(1)資金繰りによる倒産
企業は、決算書を見ると黒字であったり現金があったとしても、急な出費や入金が遅れると資金繰り倒産することがよくあります。企業活動により、手元現金は毎日変動しますが、一時点を見る決算書だけでは企業の動向を把握することは困難ですね。資金繰りを考えたときに、支払手形を活用している会社が多いですが、手形不渡りが短期間に2度発生すると倒産することになります。
(2)アメリカンシルバーウッドが破産で倒産
アメリカンシルバーウッド倒産の理由について、2013年8月14日の帝国データバンクが、スチール・フレーミング工法開発のアメリカンシルバーウッドが破産を報じているので見てみましょう。アメリカンシルバーウッド(株)(TDB企業コード987873811、資本金3億5000万円、東京都港区芝大門2-12-7、代表山口明文氏)は、8月7日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。アメリカンシルバーウッドが破産により倒産しています。アメリカンシルバーウッドの会社概要と、民事再生ではなく、破産を選んだ理由について見てみましょう。
(3)会社概要
- 1992年12月設立 しばらく休眠状態
- 1997年に事業を再開
- アメリカンシルバーウッド社がスチールハウス設計施工技術を、日本国内に普及目的
- スチール・フレーミング(軽量薄板型鋼)を使用した建築工法の開発、設計施工管理など
- 独自の技術を背景として、複数のベンチャーキャピタルが出資
- 取引先は大手ゼネコンやハウスメーカーなど
- 2007年9月期 売上高約28億4400万円
アメリカンシルバーウッドの技術力が評価されていたことは、取引先が大手企業であることからも分かりますが、中小企業は一般的に取引上では不利になることがあります。
(4)大手企業との取引が不利な理由
- 大手企業は資金回収条件が悪いことが多い 下請法の対象は除く
- 大手企業は代替取引先をすぐに探せる
- 大手企業は取引を選別できる
- 大手企業に技術を吸い上げられる可能性がある
自社と取引先の企業規模の格差は、取引条件に大きく影響しますので、取引先の分散が重要になりますね。
(5)建築基準法の改正やリーマン・ショックで受注減少
しかし、その後は建築基準法の改正やリーマン・ショックなど外部環境の悪化から受注が伸び悩み、2008年9月期の年売上高は約26億3200万円に減少、当期純損失を計上していた。アメリカンシルバーウッドは、建築基準法の改正やリーマン・ショックで受注減少していますが、売上高を見るとそれほど減少してないことが分かります。
- 2007年9月期 売上高約28億4400万円
- 2008年9月期 売上高約26億3200万円 当期純損失を計上
(6)企業分割と決済難
2009年7月には一部事業を他社に新設分割。加えて、同年末には決済難に陥るなど厳しい運営が続くなか、当社事業については縮小を余儀なくされていた。申請時の負債は約34億7484万円。アメリカンシルバーウッドは決済難になっていることから、資金繰りが厳しかったことが分かりますね。アメリカンシルバーウッドが民事再生ではなく破産を申請しているのは、事業を新設分割により再生を目指していますので、有望な事業が残っていなかった可能性がありますね。
アビスパ福岡倒産危機の理由を見ると、アメリカンシルバーウッドのように資金繰り難になっていることが分かりますね。家計に例えると分かりやすいですが、業績が黒字であっても、手元の資金がなくなって借金返済や支払いが行えなくなると企業は倒産します。 スポンサードリンク
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