グローバル企業の資金調達動向

スポンサードリンク
グローバル企業の資金調達動向は、米国企業のユーロ建て社債発行が特徴的です。グローバル企業は、ヨーロッパの低金利を利用しており、株主還元に使っていることが分かりやすいですね。


(1)多国籍企業の巨大化

多国籍企業は、グローバル展開することにより巨大化しており、政府の年間予算を超えるような売上高に拡大しています。グローバル企業は、世界展開することにより売上高や利益を増やしているだけでなく、生産や調達を世界各地で行なっていますね。

フィリップモリスは、世界最大のたばこ会社として事業買収を続けており、税金を除いた売上高が3兆円以上あります。ABインベブは、世界最大のビール会社として売上高5兆円超になっており、世界2位のSABミラー買収が報道されていますね。

グローバル企業は、世界各地に進出することにより規模を拡大しており、CMSを構築することにより資金調達の最適化を行なっています。グローバル企業の資金調達は、株式交換による買収資金の調達も行なっているため、投資家には規模拡大のメリットが大きいと言えますね。
スポンサードリンク

(2)グローバル企業のユーロ建て社債が増加

  1. ロイターの調査
  2. 2015年1月から3月上旬
  3. 欧州域外企業発行のユーロ建て社債443億ユーロ 約6兆円
  4. 欧州域外企業発行のユーロ建て社債の増加率 前年同期比倍増
  5. 欧州域外企業発行のユーロ建て社債発行金額 リーマンショック後で最高水準
グローバル企業の資金調達動向について、2015年3月23日の日経が報じているため見てみましょう。グローバル企業は、資金調達の多様化を進めており、ドルやユーロを分散して調達することによりリスクヘッジを行なっています。

ユーロ圏は、ユーロ安や金利低下が進んでいるため、低コストの資金調達を行いやすい経済環境になっています。ヨーロッパ域外の企業は、ユーロ建ての資金調達を急速に増やしており、2015年のユーロ建て社債は過去最高水準にになりそうです。

ヨーロッパ企業が社債による資金調達拡大をまとめましたが、2016年になっても金融緩和は拡大しており、ECBが優良企業の社債買い入れを発表しています。グローバル企業は、大量の資金を低コストで調達しており、成長と株主還元のための資金調達に成功しました。

グローバル企業の世界展開は、売上が分散されているため、複数通貨の調達により為替変動リスクを小さくすることができます。アメリカのグローバル企業は、ユーロ建ての資金調達を進めているため、ヨーロッパの低金利政策による恩恵を受けているということですね。

(3)ヨーロッパ企業の資金調達は増えていない

  1. ECBが量的緩和
  2. ヨーロッパの景気回復が遅い
  3. ヨーロッパの大手企業は資金調達済
  4. アメリカ企業がユーロ建て社債の3割を占める
ヨーロッパ中央銀行は、景気を刺激するために量的緩和を行なっており、債券の買い上げを勧めてきました。ヨーロッパのグローバル企業は、低金利の資金調達を行ないやすくなっていますが、資金調達済みのために調達割合は増えていません。

レゴランド事業拡大の理由をまとめましたが、マーリンエンターテイメンツのように世界展開を進める企業は、金利低下の恩恵を受けて設備投資を増やしています。ヨーロッパ企業は、ユーロの金利低下は意味がないと言われていますが、グローバル展開している企業は上手に利用しているのでしょう。

グローバル企業は、世界の景気や市場動向を比較してターゲットを決めていますが、有利な資金調達も行なうことができます。アメリカのグローバル企業は、ユーロ建ての資金調達を急速に増やしており、ユーロ建て社債に占める割合が3割という高い水準になっていますね。

グローバル企業の巨大化は、アップルやグーグルのようなIT企業が注目されていますが、たばこ産業やビール産業のような成熟産業でも規模が拡大しています。グローバル企業は、世界中の最も有利な市場から資金調達することにより、株主還元を最大化しようとしていることが分かりやすいでしょう。

(4)アメリカ企業の資金調達事例

コカコーラの社債発行

  1. アメリカ企業のコカコーラ
  2. 資金調達金額 85億ユーロ
  3. 資金調達金利 表面利率1.1%
  4. コカコーラの配当利回り 3.3%
  5. 借換により支払利息を減らせる
  6. 自社株買いの資金を低利で調達できる

アメリカ企業や日本企業の動向

  1. バークシャーハザウェイやAT&Tなども発行
  2. 三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行が日本企業では発行
  3. アップルはユーロ建て社債やスイスフラン建て社債も発行
コカコーラは、アメリカを代表するグローバル企業のため、資金調達事例として分かりやすいと思います。コカコーラは、85億ユーロの社債を発行しており、日本円にすれば1兆円超の資金調達を行ないました。

コカコーラ社債の調達金利は、表面利率が1.1%の超低金利になっていますが、投資家の需要は2倍を超えています。アメリカのグローバル企業は、配当や自社株買いを重視しており、コカコーラの配当利回りは3.3%の水準になっていますね。

コカコーラは、連続増配を続けている会社であるため、低金利の社債により自社株買いを行ないやすくなるでしょう。アップルは、大規模な自社株買いによる株主還元を約束しており、ユーロやスイスフランによる低金利の社債を原資にしようとしています。

バフェットお金持ちになる方法をまとめましたが、バークシャーハザウェイもユーロ建て社債の資金調達を行なっており、プレシジョンキャストパーツのような買収も行ないやすくなりました。グローバル企業の資金調達動向を見れば、優良企業は金融緩和による低金利を利用しており、株主還元をさらに行ないやすくなっていると言えますね。


アメリカ企業のユーロ建て社債の発行

  1. 2012年ユーロ建て比率 5%
  2. 2014年後半ユーロ建て比率 15%
  3. ドル建て社債の平均発行利回り4%
  4. ユーロ建て社債の平均発行利回り2%
  5. ドル建てと欧州通貨建ての金利差は拡大している
アメリカ企業は、ユーロ建ての社債発行比率が増加しており、5%から15%にまで上昇しています。ユーロ建て社債の2015年前半は、アメリカのグローバル企業が3割を占めており、金利差が資金調達に与える影響が分かりやすいでしょう。

VW倒産の可能性をまとめましたが、不祥事により信用状況が悪化すれば、金利は急上昇していますね。グローバル企業の資金調達は、財務やブランド力が基盤になっているため、不正を行なっていれば資金繰りは急激に悪化します。

グローバル企業の経営者であれば、ドル建て社債4%、欧州通貨建て社債2%の格差があれば、ユーロ建てやスイスフラン建ての社債発行を増やすと思います。アメリカのグローバル企業は、アメリカ市場だけでなく、ヨーロッパや世界各地に進出しているので資金調達はしやすいですね。

アメリカのグローバル企業は、為替のユーロ安が続くのであれば、ドル建て社債を償還資金に使うことにより割安な資金調達をすることもできます。グローバル企業は、世界に強いブランド力と安定した収益力があるため、資金調達を分散させることにより株主還元を続けることができるということですね。
スポンサードリンク

::


0 件のコメント:

コメントを投稿

最近の記事
Google を含む第三者配信事業者は、Cookie を使用して、ユーザーのウェブサイトでの閲覧履歴に基づく広告を配信します。 Google 広告 Cookie を使用することにより、Google や Google のパートナーは当サイトや他のサイトへのアクセス情報に基づく広告をユーザーに表示できます。 ユーザーは広告のオプトアウト ページ
で Google 広告 Cookie を使用しないよう設定できます(また、Network Advertising Initiative のオプトアウト ページでも第三者配信事業者の Cookie の使用を無効にできます)。