フーセンウサギ倒産と破産

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フーセンウサギが倒産しましたが、破産しており事業継続を断念した可能性があります。フーセンウサギの倒産理由は、少子化でも成長企業があるので別の要因があると言えそうですね。


(1)アパレル企業の倒産

アパレルはユニクロやしまむらなどの大手SPAが市場シェアを大きく拡大しており、価格競争が激しくなっています。アパレル業界では、中国を中心に海外から商品を輸入することが一般的になっており、為替リスクを回避することが一つの経営課題となっています。レモールは為替デリバティブで、為替レート変動をリスクヘッジしていたようですが、金融戦略に失敗して多額の損失が発生して倒産しています。

倒産しているアパレル企業を見ると、消費者から支持を集めていた企業も倒産していることが分かります。ユニクロやしまむらだけでなく、ZARAやGAPを中心とした海外SPAも日本市場に進出しており、アパレル業界の競争が激しくなっているため倒産する企業が増加しそうですね。
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(2)フーセンウサギの会社概要

フーセンウサギ倒産と破産について、2013年10月15日の帝国データバンクが、大正10年創業の子供服メーカー「フーセンウサギ」が破産を報じており、2013年10月15日に破産により倒産しています。
  1. 1921年1月創業
  2. 1951年7月法人改組
  3. フーセンウサギは老舗ベビー服、子供服製造卸業者
  4. 子供服、ベビー服の企画デザインなどは自社および取引先との共同企画
  5. 生産は海外現地法人を中心に外注委託
  6. 全国の百貨店を中心に、大手量販店、スーパー、子供用品店などに販売
  7. フーセンウサギの自社ブランド CELEC(セレク)など
  8. 2000年2月期売上高 約266億500万円
フーセンウサギは、アパレル企業としての特徴を簡単にまとめると、売上高はそれなりにあるものの自社店舗を持っていないことが特徴的ですね。フーセンウサギのように、子供服の会社でも自社店舗を保有している上場企業もありますので、利益率や販売面で不利になった可能性があります。

ricori倒産の理由をまとめましたが、フーセンウサギとricoriを比較すれば、祖業やマスコミの話題は違う事が分かります。フーセンウサギは、経営規模の拡大に成功しましたが、少子化による需要の減少に対応する事が重要になっていましたね。

(3)フーセンウサギのビジネスモデル

  1. 企画デザイン 自社および取引先など
  2. 生産 海外現地法人に外注委託
  3. 販売先 自社の店舗ではなく、全国の百貨店など
ユニクロやしまむらなど、アパレル業界で成長している企業はSPAとして自社の販売店舗を持っていることに特徴があります。フーセンウサギの販売先は、百貨店などとなっていますので、委託販売の形式であれば利益率が十分でなかった可能性があります。

フーセンウサギが自社店舗を持っていないということは、企業成長に限界が生じると同時に、商品販売や販売地域に柔軟性がなくなりますので業績が厳しかったのでしょうね。フーセンウサギは、子供服ですので少子化の影響を受けることになりますが、価格帯を異なるものの西松屋が業績を伸ばしているため少子化以外の要因もあると言えそうでね。

(4)ファンドへ第三者割当増資を行い創業家から脱却

  1. 2006年5月 ポラリス・キャピタル・グループ(株)の運営するポラリス第一号投資事業有限責任組合と第三者割当増資引受の契約を締結
  2. 2006年5月 ポラリスの同ファンドに第三者割当増資を実施
  3. ポラリスに創業者一族の保有株式を譲渡
  4. 2006年6月 第三者割当増資を実施 ポラリスのファンドの100%子会社化
  5. 2006年7月 代表者の変更
  6. 不動産の売却や海外現地法人の営業停止などのリストラ
フーセンウサギは、ポラリスに株式譲渡や第三者割当増資を行っており、創業家からの脱却を進めて経営再建を進めていますね。フーセンウサギは倒産するまでに資産のリストラを進めており、業績が悪化していたことが分かります。

オーナー企業は、企業を私物化することで業績悪化することがあると指摘する人もいますが、ファンドが買収後も業績が悪化しており経営再建に失敗したようですね。

(5)フーセンウサギは業績悪化で売上高4分の1に減少

  1. 2000年2月期売上高 約266億500万円
  2. 2013年2月期売上高 約62億1300万円
  3. 2013年9月支払遅延が発生
  4. 2013年 取引先に支払延期要請を行うなど資金繰りが急速に悪化
  5. 直近10期中9期で最終赤字
  6. 億単位の多額赤字を計上
フーセンウサギは業績悪化とリストラにより、売上高が4分の1に縮小しています。フーセンウサギは、2006年6月にポラリスが運営するファンドの100%子会社化していますので、7年で倒産していることが分かります。

ポラリスはフーセンウサギのリストラを進めてきましたが、フーセンウサギは破産させていますので、スポンサーを見つけて民事再生を行う企業余力も残されていなかったようですね。

手形割引 銀行審査と手数料でまとめましたが、手形は振出人の信用力に大きく依存することになります。フーセンウサギは業績悪化が続いているうえに、支払遅延が発生していますので、手形割引を断られたり融資条件が悪い可能性が高い会社と言えます。

(6)フーセンウサギとユニクロなどSPAの資金繰りに違い

  • 商品在庫 棚卸資産であるが委託販売であれば返品があるため増加しやすい
  • 売上債権 売掛金や受取手形 ユニクロなどSPAは店舗販売のため現金収入
  • 仕入債務 買掛金や支払手形
フーセンウサギは支払延期の要請を行っており資金繰りが厳しかったようですので、資金繰り倒産寸前であったことが分かります。フーセンウサギは倒産しましたが、自社店舗を保有している企業との違いについて簡単に見てみましょう。

ユニクロやしまむらのように、自社の店舗を保有していれば顧客からの現金収入が見込めますが、フーセンウサギは法人への販売ですので資金繰りが悪化した可能性があります。フーセンウサギのように法人取引を行っている企業は、売上時点ですぐに現金収入が手に入るわけではないうえに、現金の回収期間が長期化すれば資金繰りは厳しくなります。

フーセンウサギは子供服を販売していますが、少子化の環境下でも業績を拡大している企業もありますので、少子化だけが原因ではないですね。フーセンウサギの販売ルートは気になりますが、SPAとして店舗販売を行えないアパレル企業は、老舗ブランドであっても倒産が続きそうですね。
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2 件のコメント:

  1. 優良な子ども服国産メーカーがファストファッションメーカーに圧されてしまうのは寂しい。

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    1. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      子供服の国産メーカーが倒産するのは、匿名さんが仰る通り寂しいものがありますね。

      フーセンウサギ倒産について考えると、アパレル市場は縮小が続いていますが、大手企業は企業規模拡大が続いています。
      縮小している市場の中で差別化が難しいので、フーセンウサギのような中小企業は価格競争で倒産が増えそうですね。

      フーセンウサギは民事再生ではなく破産していますので、業績悪化とリストラで、経営再建の余力がかなり低下していたのでしょうね。

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