(1)老舗の名門旅館が倒産
皇族がご宿泊に利用している、地方の名門旅館の倒産が相次いでいます。老舗旅館は観光地に立地していたり素晴らしい庭園を保有しており、最盛期の賑わいは凄かったようですね。老舗旅館の中には、観光客からの人気が継続しているところもありますが、新幹線や高速道路の開通などで観光地の盛衰が激しいですね。旅館やホテルなどの観光業は、施設や庭園の維持に多大な費用が発生しますので、急激な宿泊数の減少は赤字に繋がります。
空室率を低下させるために、旅行サイトを利用したり海外の旅行会社に営業を行うなど空室率を低下させるための企業努力を行っているところが多いですね。
(2)天皇陛下や皇后陛下が宿泊した名門観光旅館
YATARO倒産の理由について、2013年9月13日の東京商工リサーチが、昭和天皇皇后両陛下が宿泊した有名観光旅館が特別清算開始決定を報じているので見てみましょう。- 1946年6月に設立 YATAROの前社名は(株)矢太樓
- YATAROは菓子製造業でスタートした観光旅館
- 1961年4月と1969年10月 昭和天皇皇后両陛下が宿泊
- オランダ国王女ベアトリックス内親王殿下、トンガ国王などが宿泊
- 2013年9月2日 負債総額約23億円で特別清算開始決定
- 2013年長崎で最大規模の倒産
YATAROの倒産は、長崎で最大規模の倒産ですが倒産理由は特別清算となっていますので、倒産した経緯と倒産後の事業形態について見てみましょう。
(3)設備投資の借入負担で業績悪化
- 1992年 別館のヤタロウイン1号館を改装し矢太樓南館をオープン
- 1993年6月期売上高19億8800万円でピーク
- 観光客の減少や修学旅行などの団体客が減少
- 設備投資による借入金利などが負担となり採算は低迷
YATAROのように旅行業やホテル業は、建物などの固定資産を抱えているうえに利益率が低いため、設備投資後に業績が低迷すると倒産に繋がることが多いです。YATAROの客層を見ると、修学旅行客に頼っていた面もあるようですが、少子高齢化の影響がどの程度あったのか気になりますね。
(4)会社分割と今後の経営方針
- 2013年1月29日 会社分割で(株)新矢太樓を新設
- 2013年3月 (株)矢太樓の社名変更で営業継続
- 今後の需要見込み 新三大夜景による観光客の増加
- 今後の需要見込み 2014年の長崎がんばらんば国体による観光客の増加
ロームつくば倒産閉鎖の理由を見ると、グループ企業のリストラにより子会社の特別清算を行っています。YATAROは会社分割により旧会社の特別清算で会社再生を目指していますので、ロームのような大企業がグループ会社のリストラを行うこととは意味が異なりますね。
YATAROのように皇族がご宿泊する、地方の老舗旅館や名門ホテルの倒産が続いていますが、地方の観光業が経営再生に成功する事例となるのか今後に注目ですね。 スポンサードリンク
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