(1)ゴルフ場の倒産と預託金
ゴルフは、ゴルフ会員権と呼ばれる預託金を販売することで、ゴルフ場の建設や運営に必要な大量の資金を回収していました。ゴルフ会員権は売買されており、バブル経済など好況のときには値段が高騰していました。ゴルフ場はバブル崩壊で大量に倒産していますが、外資系企業がゴルフ場の買収を繰り返して、ゴルフ場運営の会社を上場させています。ゴルフ場は倒産することで預託金や銀行借入などの債務が激減しますので、財務体質が改善したゴルフ場は再生している事例も多いですね。
(2)ツインフィールズの民事再生と会社更生法の申請
ツインフィールズ倒産と会社更生法について、2013年10月10日の帝国データバンクが、ゴルフ場経営のツインフィールズ、更生手続き開始決定受けるを報じているので見てみましょう。3月29日に債権者より会社更生法の適用を申し立てられていたツインフィールズ(株)(TDB企業コード380152921、資本金8000万円、石川県金沢市片町1-1-30、代表関沢好洋氏)は、10月10日に大阪地裁より更生手続き開始決定を受けた。ツインフィールズは民事再生により倒産していますが、民事再生手続きよりゴルフ場の再生を目指していました。ツインフィールズの債権者は民事再生手続きに不満を抱いており、民事再生手続を中止して会社更生法の適用を申請していますね。
会社が民事再生法を申請したとしても、債権者の協力は不可欠ですので、経営者の責任追及などに不満があれば破産手続きに移行する事例もあります。ツインフィールズの会社概要と、倒産に至る経緯について簡単に見てみましょう。
(3)ツインフィールズの会社概要
- 1989年3月に設立 不動産賃貸業者が中心で地元金融機関などが出資
- ツインフィールズの会員は当初、法人・個人を合わせて約2800人
- 1992年10月 小松市里川町でゴルフコース36ホール ゴールドコースとダイヤモンドコース
- 1996年3月期売上高 約19億円
- 1999年5月 日本プロゴルフ選手権を開催
- コース設計 竹村秀夫
- コース監修 石井富士夫
- 名誉理事に首相経験の地元代議士や政治や財界の大物
ツインフィールズの名誉理事に首相経験の地元代議士がいたようですが、石川県選出の総理大臣は森喜朗首相である可能性が高いですね。ツインフィールズは、他のゴルフ場と同様に預託金の返還が困難になり経営が悪化しています。
(4)売上高減少と預託金返還訴訟
- 1996年3月期売上高 約19億円
- 2001年3月期売上高 約12億5500万円
- 2012年3月期売上高 約4億7800万円
- 預託金返還請求が相次ぐ
- ゴルフ会員権の分割や償還据え置き提案するが合意を得られず
- 2002年6月 吉村外茂勝社長と妻の美代子氏が死去
ツインフィールズは預託金返還請求が相次いだものの、債権者からの合意が得られず問題は未解決のままでした。ツインフィールズの吉村社長夫妻が亡くなったことで、問題は一時的に落ち着いたようですが、業績悪化が深刻化していたことが分かります。
千葉国際カントリークラブ倒産の理由をまとめましたが、売上高は激減していることが分かります。ツインフィールズと千葉国際カントリークラブを比較すれば、倒産前に売上高が激減しており、ゴルフ会員権の返還は困難になっていますね。
(5)債権者からの返済請求
- 預託金返還訴訟に敗訴
- 2012年8月27日 民事再生法の適用を申請
- 2013年5月27日 民事再生手続きの中止命令
- ツインフィールズ新生の会が経営陣に反対
- ツインフィールズ新生の会が会社更生法の適用を申請
- ツインフィールズの負債 約189億6900万円 2012年8月20日時点
- 2013年3月29日 債権者が会社更生法の申請
- 2013年10月10日 大阪地裁が更生手続き開始決定
ツインフィールズは民事再生手続きを進めていましたが、債権者は民事再生手続きに反対する権利がありますので、それを行使した形ですね。ゴルフ場は経営悪化により倒産が相次いでいますので、民事再生手に反対する債権者が、会社更生法の申請や破産申し立てで経営者の責任を追及する事例が増加しそうですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿