(1)特別清算による倒産
上場企業は巨大な企業グループを形成している会社がありますので、多数の子会社を保有しています。オリンパスは、粉飾決算に用いた子会社の特別生産を、粉飾決算発覚後に行っていますね。特別清算は民事再生の申請と異なり、債権者の多数決で資産分配が決められますが、債権者が限られている場合に、迅速な手続きが可能である点に特徴があります。
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(2)ブラザー工業の子会社で特別清算
ベレッツアクラブジャパン倒産の理由について、2013年8月6日の帝国データバンクが、東証1部上場、ブラザー工業の連結子会社が負債158億円で特別清算申請を報じているので見てみましょう。ベレッツアクラブジャパン(株)(TDB企業コード984223287、資本金9025万円、東京都中央区京橋3-3-8、代表平岩茂市氏)は、8月6日に親会社であるブラザー工業(株)(東証1部)の取締役会において、特別清算手続き開始の申立てをすることを決議し、同日、東京地裁に特別清算を申請した。ベレッツアクラブジャパンは、ブラザー工業の子会社ですが特別清算を決議して倒産しています。上場企業がグループ再編やリストラのために、子会社を特別清算することはよくありますが、ブラザー工業への影響やベレッツアクラブジャパンの事業内容を見てみましょう。
(3)美顔器など美容機器の販売
当社は、1990年(平成2年)12月に旧・ブラザー販売(株)の出資により設立。美顔器を主体とした美容機器の販売を手がけ、92年3月期の年売上高は約115億600万円を計上していた。99年に旧・ブラザー販売(株)をブラザー工業(株)が吸収合併したことで、同社の100%出資子会社となっていた。ベレッツアクラブジャパンは美顔器など美容機器の販売を中心に手がけていますが、売上規模を見ると、それなりの売上高があったことが分かります。
ベレッツアクラブジャパンは業績が悪化していましたが、パナソニックなど電機メーカーもヘルスケア部門に積極的に参入していましたので、競争が激化した可能性がありますね。
(4)親会社への借入金返済に失敗
その後、販売不振に歯止めがかからなかったため、美容関連事業を終息させる一方、親会社への借入金の返済に取り組んできた。しかし、ここにきて返済のメドが立たなくなったことから、今回の措置となった。負債は、2013年3月期で約158億4300万円。ベレッツアクラブジャパンは、ブラザーから多額の借入があったようですが、売上規模に対して負債の規模が大きいので、運転資金の支援だけではなさそうですね。ベレッツアクラブジャパンの負債158億円は、ブラザー工業に対する借入金と報じられていますが、その資金使途が気になりますね。
ロームつくば倒産閉鎖の理由を見ると、ロームも業績不振によりグループ企業のリストラと子会社の特別清算を行っていることが分かります。ロームの特別清算による仕訳について簡単に説明しましたが、ブラザーについても親会社の債権と子会社の債務を打ち消す形になるでしょうね。
(5)貸倒引当金は計上済みで業績に影響なし
なお、ブラザー工業(株)は、すでに当社に対する債権約158億円を貸倒引当金として全額計上済みであり、業績予想にも織り込み済みであることを明らかにしている。ブラザー工業は、ベレッツアクラブジャパンの債権に対して貸倒引当金を計上済みですので、業績に影響はありません。
- 特別清算前の仕訳 貸倒引当金繰入/貸倒引当金
- 特別清算前の仕訳 貸倒引当金/子会社貸付金
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