(1)自動車関連企業の倒産
自動車産業は、製造業では最大規模の産業ですので、自動車部品企業や電機業界など多くの産業に影響を与えており、多くの雇用を創出しています。日本企業ではトヨタ自動車やホンダ、日産などが有名ですが、自動車業界の市場規模は40兆円を超えており、為替レートの円安ドル高への修正により好決算となっています。日本の自動車産業の特徴は、グローバル競争に勝ち抜いている反面、調達価格に厳しいことで有名ですね。自動車産業は、民主党政権による為替レート円安ドル高政策により業績が悪化したことで、倒産している会社が多いですね。
(2)アクロスが民事再生の申請で倒産
アクロス倒産と民事再生について、2013年8月2日の帝国データバンクが、無機質繊維強化炭素複合材製造のアクロスが民事再生を報じているので見てみましょう。(株)アクロス(TDB企業コード270426387、資本金4億9500万円、埼玉県戸田市新曽2235、代表松野年宏氏、従業員30名)は、8月2日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。アクロスが民事再生申請で倒産していますが、技術力の高い会社ですので、債権者から債権放棄の同意を得たり、スポンサーを探すことで企業再生を目指すようですね。
(3)アクロスの会社概要
- 1987年(昭和62年)5月に設立
- 埼玉県戸田市の本店工場、埼玉県に他工場や福井県鯖江市内に工場
- 2008年3月期売上高 約37億2200万円
- 2011年3月期売上高 約54億9900万円
- 2012年3月期売上高 約43億9500万円 東日本大震災の影響
- 先端複合材を耐熱、摺動、機能性素材などの分野で提供
- 炭素繊維に強みがありC/Cコンポジットを活用した各種製品の製造
- C/Cコンポジットとは炭素を炭素繊維で補強した製品
- C/Cコンポジットは、軽量、高強度、高弾性という特徴があり製造コストが低い
- C/Cコンポジットは、リンクベルト、パイプ、アングル、シート、クラッチ、ボルト、ナットなど自動車や各種機械の部品
アクロスの販売している製品は、炭素繊維強化炭素複合材料と呼ばれるものであり、自動車や航空機、宇宙産業など高い技術と耐久性が求められる分野で活用されていることで有名ですね。
(4)売上の減少と資金繰りを借金に依存
また、開発費用が多額にのぼり資金先行型の財務体質であったことから、借入依存度が高く有利子負債も年商規模にまで膨らみ、利払い負担が重く収益を圧迫していた。アクロスは東日本大震災で売上高が減少していますが、資金繰りの体質を見ると手元資金が十分でなかったため、借金による資金調達に頼っています。
- 手元資金が不足
- 多額の開発費が必要
- 借金に依存
- 売上高の減少
(5)大手企業が資本参加
このため、本店工場および県内複数の工場のうち、一部機能を福井工場(現在は関係会社の管理下)に集約するなど合理化を進める一方、大手企業の資本参加を得るなど財務面の強化に努めていたものの、近時は売り上げ全体が伸び悩むなか、売掛金の回収遅延も重なり資金繰りが大きく悪化。アクロスはリストラを行っていますが、財務改善の対策として、大手企業が資本参加を行っており、技術力が高いことが分かります。
- 東京大学と共同研究
- 大阪ガスと共同研究
- 日産と共同研究
アメリカンシルバーウッド倒産の理由を見ると、取引先に大企業があれば中小企業の信用力の上がるメリットもありますが、資金繰り面でデメリットもあることが分かります。
(6)資金繰り悪化で倒産
この7月末の決済が困難となり、法的手続きによる再建を目指すこととなった。負債は約70億円。アクロスは売掛金の回収遅延と借入金の増加による返済増加が重なり、資金決済が困難となったことが倒産理由ですね。アクロスは大手企業と共同研究を行うなど、技術力の高い会社であることが企業の経歴から分かります。
アクロスは借金増加により倒産していますが、民事再生を申請していますので、債務整理によって再生するのかどうか注目ですね。八街工業 倒産の理由を見ると、設備投資による借金と経営の悪化で倒産していますね。 スポンサードリンク
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