(1)航空機業界の動向
JALの倒産は、債権放棄や税金負担はありましたが、社員年金カットが少なく設定されたため批判されました。半沢直樹シリーズでは、銀翼のイカロスは日本航空を描いているため、航空機業界の動向が話題になりましたね。航空機の価格は、1機が数十億円から数百億円の高額なうえに、整備や燃料費に多額の金額が必要になります。航空機業界は、パイロットの人員確保だけでなく、多額の資金繰りが重要な業界ですね。
航空機は、空を飛んで目的地まで移動するため、安全性が何よりも重要視されます。大韓航空機のナッツリターン事件は、副社長の違法な指示だけでなく、パイロットも違法行為により引き返したため世界中で問題視されましたね。
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(2)スカイマークの破綻危機
- 1996年11月 HISの澤田社長が設立
- 2003年 西久保氏がスカイマークに30億円出資
- 2004年1月 西久保社長がスカイマークの社長になる
- 2015年時点 HISは6.5%の株式を保有
- スカイマークの経営再建 航空機や機材の統一を行う
- スカイマークの経営再建 従業員の多能工化を進める
- スカイマークの経営再建 予約システムの整備によるコスト削減
西久保社長は、スカイマークが破綻危機の増資に、30億円出資して応じており現在も筆頭株主になっています。西久保社長は、IT会社を経営していたため、システム関連に強い経営者でした。
スカイマークの価格は、予約システムの改善によって価格の柔軟性が高まっており、顧客の満足度を高めることに成功しました。スカイマークは、保有する航空機を減らすことにより整備費用の削減にも成功しており、高い利益率の高収益企業に成長していましたね。
(3)スカイマークの業績動向
スカイマークの業績が悪化
- 2003年頃のスカイマークは累積赤字100億円超
- 2011年3月期売上高580億円 当期純利益63億円
- 2012年3月期売上高802億円 当期純利益77億円
- 2013年3月期売上高859億円 当期純利益38億円
- 2014年3月期売上高860億円 当期純損失18億円
- 2014年度中間期売上高452億円 当期純損失57億円
スカイマークの現金預金が激減
- スカイマーク2011年3月期の現金預金164億円
- スカイマーク2012年3月期の現金預金306億円
- スカイマーク2013年3月期の保有現金231億円
- スカイマーク2014年3月期の保有現金70億円
- スカイマーク2014年9月期の保有現金45億円
スカイマークの大型航空機購入計画
- エアバスA380を6機購入は1500億円の投資計画
- エアバスA380を6機購入は1900億円に円安で値上がり
- 2014年3月期 約265億円の前払金を既に支払
- 2015年3月期 500億円超の支払計画に失敗して資金繰り破綻
スカイマークは、2012年3月期に300億円以上の現金を保有しており、資金繰りは問題がないように見えます。航空機産業は、飛行機の購入や整備に多額の資金は必要になりますが、リース契約の発達により投資を最小限度に抑えられる仕組みありますね。
イエローキャブ破産の理由は、主力タレントの契約切れにより倒産を決断しており、スカイマークのような資金繰り破綻とは違います。スカイマークは、倒産直前の現預金が10億円未満という報道も出ており、会社の資金繰りに失敗した典型事例として分かりやすいですね。
スカイマークは、大型航空機エアバスA380の購入契約は外貨建てのため、為替レート円安によって為替予約をしてなかった分の購入経費が膨らんでいます。スカイマークは、業績不振と前払い金によって、手元現金が急速に減少しており資金繰り破綻寸前になっていましたね。
(4)スカイマークの資金繰り悪化
- ライバル航空会社との競争 LCCが増加
- ライバル航空会社との競争 ANAとJALの値下げ
- スカイマークの業績が大幅に悪化して手元資金減少
- エアバスの新型航空機A380購入により資金繰り悪化
- エアバスの新型航空機A380は円安による購入価格が高騰
- 新型航空機は中古市場が発達しておらず独自仕様のため転売困難
航空機業界は、ジェット燃料のケロシンが、原油から精製されるため原油価格の影響を大きく受けます。スカイマークは、原油価格低下により利益が増えるはずですが、オイルデリバティブや先物取引によって価格固定化をしていたため恩恵が少なかった可能性がありそうですね。
スカイマークは、エアバスとの購入契約取り消しが失敗したのであれば、航空機を中古市場に売却するという方法があります。スカイマークは、新型機を購入したため中古機市場が発達していない上に、スカイマークの独自仕様はエアバスが他社に転売しにくかったのでキャンセルしにくかった要因もありますね。
(5)スカイマークの大口債権者にメインバンクがない
- スカイマークは社債の発行残高がない
- スカイマークは銀行からの短期借入金がない
- スカイマークは銀行からの長期借入金がない
- スカイマークは新型機購入資金を営業キャッシュフローで購入計画
- スカイマークの大口債権者に銀行がいればJALのように債権放棄にの可能性があった
- スカイマークの大口債権者に銀行がいればシャープのように追加融資の可能性があった
スカイマークのようなリース契約は、粉飾決算ではなく合法的で認められているものですが、一般的には航空機を購入したときよりも高くなります。銀行は、大手企業に多額の融資を既に行っていれば、追加融資や債権放棄を行うことがあります。
gumi下方修正の倒産回避は、スカイマークは業績好調のときも無借金経営でしたが、gumiは多額の銀行借入を無担保無保証で行っています。スカイマークとgumiを比較すれば、経営は業績好調であるときは審査がゆるいため、銀行からお金を借りることが経営危機のときに倒産するのかの分かれ目になることがあります。
シャープ倒産危機のDESをまとめましたが、スカイマークとシャープを比較すれば、銀行による企業支援に大きな差があります。スカイマークが、資金繰り倒産の危機になる段階になっていれば、不良債権発生のリスクがある新規融資を行わないでしょうね。
(6)スカイマークの倒産と再建
- 2014年1月28日 民事再生法を申請
- 投資ファンドのインテグラルが資金を融資
- 大口債権者 エアバスが機体販売により債権保有
- 大口債権者 イントレピットアビエーションが機体リースによる債権保有
- 一般的な民事再生になるならば債権カットになりエアバス向けの債務をカット
- 一般的な民事再生になるならば債権カットになり航空機のリース債務をカット
- スカイマークは外資系企業が大口債券者になっているため破産のリスクもある
エルピーダ倒産の理由をまとめましたが、スカイマークとエルピーダは、銀行との取引関係が希薄なことに共通点があります。航空産業と半導体産業は、為替の影響を受けやすいうえに巨額の投資が必要であるため、スカイマークのように倒産局面で新規融資は難しいですね。
スカイマークは、ANAやJALの大手航空会社だけでなく、ピーチやジェットスターなどLCCとの競争で業績が悪化しました。スカイマークは倒産することになりましたが、今後の再建動向だけでなく、航空機運賃の価格に与える影響が気になりますね。 スポンサードリンク
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