(1)アメリカンスピリットの親会社 会社概要と売上高
- レイノルズアメリカンのシェア 米国2位
- レイノルズアメリカンの売上高2015年
- レイノルズアメリカンの当期利益2015年
- レイノルズアメリカンの時価総額2015年
- レイノルズアメリカンは自社株買いを停止していた
- レイノルズアメリカンの規模拡大 ロリラード買収
- レイノルズアメリカンの経営課題 買収による負債削減
- レイノルズアメリカンの大株主 42%をブリティッシュアメリカンタバコが保有
レイノルズアメリカンは、ブリティッシュアメリカンタバコが42%の株式を保有しており、実質的な子会社になっていることが分かります。ブリティッシュアメリカンタバコは、世界2位のたばこメーカーであり、グローバル展開を行なっていますね。
レイノルズアメリカンは、自社株買いと配当により株主利益を達成しており、ブリティッシュアメリカンタバコの利益にも繋がっています。レイノルズアメリカンは、有力なブランドの海外展開よりも、負債削減と株主還元を継続することが優先課題になっていた会社ですね。
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(2)アメスピ売上高と買収金額
JTのアメスピ買収目的
- JTの買収金額 6000億円
- アメスピ2014年度売上高 176億円
- アメスピ2014年度税前利益21億円
- JTの買収目的 アメスピは高価格帯の製品
- JTの買収目的 アメスピは若者に人気である
- JTの買収目的 アメスピは海外展開して成長する
- アメスピ対策費用の年間数十億円を削減できる
- アメスピは高価格帯のため全体の価格コントロールがしやすくなる
アメスピ販売本数の増加
- 1982年サンタフェナチュラルたばこ設立
- 1993年アメリカンスピリットにブランド名を変更
- 1996年日本市場の販売開始
- アメスピ販売本数2011年 6億本
- アメスピ販売本数2012年 8億本
- アメスピ販売本数2013年 11億本
- アメスピ販売本数2014年 15億本
- アメスピは販売本数が年間36%増加ペース
- アメスピは20代や30代からの支持基盤がある
JTは、自社株買いや連続増配をしている日本企業の代表ですが、海外企業と比較すれば消極的です。アルトリアやレイノルズアメリカンは、配当や自社株買いを積極的に行なっており、フィリップモリスは自社株買いによる金庫株により債務超過になるほどですね。
JTの経営戦略をまとめましたが、フィリップモリスやブリティッシュアメリカンタバコに匹敵する、世界販売本数に成長しています。JTは、海外市場の成長取り込みだけでなく、国内市場60%の高シェアを維持することがM&Aの資金獲得のために不可欠です。
JTは、たばこ事業や飲料事業売却による豊富なキャッシュを抱えているため、海外たばこ会社のような自社株買いも選択肢にありました。JT経営陣は、アメスピ買収と自社株買いを比較したときに、アメスピの将来性に賭けたということですね。
(3)JTの会社概要と経営課題
- JTの大株主 日本政府が筆頭株主
- JTの世界シェア たばこ業界世界3位
- JTの売上高2014年12月 2兆4300億円
- JTの当期利益2014年12月 3900億円
- キャビンとキャスターをウィンストンブランドに統合
- 日本市場の市場シェアを維持する
- 海外市場の市場シェアを拡大していく
JTの世界シェアは、たばこ業界世界3位に成長しており、RJRナビスコやギャラハーの買収が大きく貢献しました。JTのM&Aは、新貝副社長がJTのM&A 日本企業が世界企業に飛躍する教科書を出版しているため参考になると思います。
JTの買収は、投資銀行に買収先の選定を頼らずに、プロパー社員同士による統合作業を迅速に行なっており十分な経験があります。JTのアメスピ買収は、ブランド銘柄の買収がメインになるため、迅速な統合作業は問題ないでしょう。
JTは、キャビンとキャスターをウィンストンブランドに統合しており、国内市場はマーケティングの余力がでています。JTのマーケティングは、世界市場にある販路を生かすことにより、アメスピの売上拡大とシェア増加を狙う経営戦略ですね。
(4)たばこ業界はブランドが重要になる
- マルボロ米国 アルトリア
- マルボロ海外 フィリップモリス
- ウィンストン米国 レイノルズアメリカン
- ウィンストン海外 JT
- セブンスター JT
- メビウス JT 旧マイルドセブン
- キャメル JT
- ラッキーストライク ブリティッシュアメリカンタバコ
- ダンヒル ブリティッシュアメリカンタバコ
- ケント ブリティッシュアメリカンタバコ
たばこ会社の決算比較 経営戦略の違いをまとめましたが、たばこ業界の超巨大化が進んでいることに驚いた方はいると思います。
たばこ業界は、たばこ訴訟による懲罰的な賠償が問題になったため、米国内と米国外の販売権を分割することも主流になっています。アルトリアは、世界首位ブランドのマルボロを保有してきましたが、海外販売はフィリップモリスに分社化しました。
ブリティッシュアメリカンタバコは、レイノルズアメリカンに40%以上出資しており、子会社化しています。ウィンストンは、JTとレイノルズアメリカンにより販売地域が異なっており、ブランド銘柄の国別販売が違う会社により行なわれていることが分かりやすいですね。
レイノルズアメリカン買収の理由をまとめましたが、ブリティッシュアメリカンタバコが買収提案していたことが、2016年10月に公表されています。ブリティッシュアメリカンタバコは、有力ブランドのアメスピを海外販売する能力があるため、JTは絶妙なタイミングでアメスピのブランド獲得に成功したと言えるでしょう。
(5)たばこ会社の経営課題 喫煙率低下と新興国開拓
- たばこの値段 たばこ税は値上げが続いている
- たばこの値段 販売量減少を値上げにより補っている
- たばこの先進国市場 若者の喫煙率低下が続いている
- たばこの新興国市場 人口増加により喫煙者が増えている
- たばこ業界の特徴 ブランド銘柄は非常に強い人気がある
- たばこ業界の特徴 値上げによる影響が少ない嗜好品である
たばこ産業は、たばこ訴訟と値上げにより壊滅すると言われてきましたが、利益の上乗せとリストラにより時価総額増加は続いています。たばこ会社は、有力ブランドを持つ大手企業のグローバル化が進んでおり、新興国市場への展開を加速してきました。
たばこは、広告展開やパッケージ規制が強化されているため、新ブランドの育成は非常に難しくなっています。JTのアメスピ買収は、ブランド育成コストを節約することに繋がるだけでなく、海外販売できる有力ブランドを獲得しました。
JTとレイノルズアメリカンを比較すれば、JTの方が有力な海外販売網を持っているため、アメスピを成長させる経営力があります。JTは、アメスピの買収効果を最大化させるために、日本国内では自動販売機でアメスピを見かけることが増えるかもしれないですね。 スポンサードリンク
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