JTの経営戦略

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JTは、国内市場の高シェアによる資金回収だけでなく、海外市場のM&Aによる成長が両輪です。たばこ業界は、有名ブランドの保有が重要になるため、株主還元に積極的な会社が多いですね。


(1)たばこ会社の経営戦略

たばこ業界は、たばこ税金値上げや政府規制だけでなく、禁煙ブームの影響により消滅すると言われています。たばこ株は、倒産リスクや損害賠償の影響を織り込んでおり、株価は割安な水準が続いてきました。

たばこ規制は、たばこ市場への新規参入を困難にしているだけでなく、広告宣伝費をリストラする効果も生みました。たばこ会社は、有名ブランド銘柄を保有していることが重要になるため、JTはアメスピ買収に6000億円を投資しています。

たばこ会社は、キャッシュフローの莫大な黒字が続いており、自社株買いや配当により株主還元を続けています。たばこ株は、ジェレミーシーゲルが投資効率の優位性を指摘していますが、業界のイメージが悪いため割安株になりやすい投資対象ですね。
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(2)メビウス10円値上げは利益200億円増加

  1. たばこはタバコ税が値上げ
  2. たばこは消費税の値上げも影響
  3. たばこ会社は増税のタイミングで値上げしている
  4. JTはメビウス10円値上げを増税しないタイミングで値上げ
  5. JTはメビウス10円値上げにより営業利益が200億円増加する
  6. 海外先進国のたばこ価格は1000円以上もあるため増益余地は大きい
たばこは、小売価格の60%以上が税金になっており、たばこ税や消費税増税の影響を大きく受ける嗜好品です。たばこ会社は、増税になれば販売数量が減少するため、値上げやリストラにより利益を補っています。

JTは、メビウスの10円値上げを行っており、わかば・ゴールデンバット・エコーの3商品も値上げしました。たばこは、増税のタイミングで値上げを続けてきたため、JTの値上げ申請は注目を集めていました。

たばこ1箱430円のうち、約277円が税金になっているため、10円の値上げは約6%の利益増加になります。メビウスの10円値上げは、営業利益200億円増益の効果があるという分析もあるため、メビウスの価格を考えれば増益余地は非常に大きいということですね。

(3)海外市場の経営戦略

  1. 北半球 先進国が多く需要縮小
  2. 南半球 途上国が多く成長市場
  3. ロシア市場はマイナス成長とルーブル安が影響
  4. 欧州市場は財政悪化懸念やポンドの通貨動向に注目
  5. 白地図に世界の発展段階を書き込み価格戦略や企業買収を策定
JTの経営戦略について、2016年3月28日の日経が、小泉社長のインタビューを報じています。JTは、たばこ世界三位の会社として世界100ヶ国以上に進出しており、日本を代表するグローバル企業です。

たばこ市場は、先進国は政府規制により需要縮小していますが、途上国は人口増加による成長が続いています。JTは、ヨーロッパやアフリカなど世界各地に進出しているため、通貨変動や社会問題の影響を受けます。

ロシア市場は、経済制裁の影響によりルーブル安が続いており、ヨーロッパ市場は難民問題による財政負担を懸念しているようです。たばこ税は、先進国の重要な財源になっているため、財政悪化の要因が発生すれば値上げされやすいことが理由と言えるでしょう。

(4)貧困国は1本買いから20本買いにシフトする

  1. たばこ1本買い 貧困国
  2. たばこ20本のパッケージ買いにシフト タンザニア
  3. ウィンストンなどの国際ブランド銘柄を購入にシフト エジプトやスーダン
小泉社長のインタビューの中で、たばこの世界市場の動向について、まとめられているのが興味深い内容になっています。たばこ業界は、貧困国は1本買いからスタートして経済成長すれば20本のパッケージ買いに、さらに成長すればウィンストンなどの国際銘柄にシフトするようです。

JTは、ギャラハーやRJRナビスコのタバコ事業を買収しているだけでなく、世界中のたばこ会社買収を続けました。JTの進出国は、ヨーロッパの先進国やロシアだけでなく、中東やアフリカなどにも幅広く展開しています。

たばこ市場は、衰退市場として将来性がないと言われてきましたが、投資家に対しては莫大な利益をもたらしています。JTは、日本市場や先進国市場で安定的に収益を稼ぐだけでなく、新興国に進出することにより経済成長の恩恵を獲得しやすい会社ということですね。

(5)JTの株主還元と競争

  1. 配当性向50% 2015年度
  2. 自社株買いは随時対応
  3. グローバル4社が全世界の3分の2を占める
  4. たばこ業界はイノベーションが発生しにくく新興企業が成長しにくい
JTは、配当性向50%だけでなく自社株買いに積極的な企業であり、日本企業の中でも株主還元は突出しています。大手たばこ会社は、世界的に株主還元に積極的になっており、アルトリアは配当性向が80%以上になっています。

フィリップモリスは、巨額の自社株買いを積極的に行ってきたため、財務諸表は自社株を除けば債務超過になりました。内部留保が儲からない理由をまとめましたが、大手たばこ会社は内部留保を最小限にしているため、投資家の利益はインデックス投資を上回る水準になっています。

たばこ業界は、フィリップモリスやブリティッシュアメリカンタバコ、JTやインペリアルタバコが中国市場を除けば世界市場の3分の2を占めています。JTは、実質借金経営により自社株買いの余地も非常に大きいため、大手たばこ会社のように株主還元を拡大していく余地は十分にあるということですね。
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