東昭建設倒産の理由

建設会社は、巨大プロジェクトを受注すれば、売上高が急激に拡大することになります。建設業界は、景気の影響により資金回収できないこともあるため、中小企業は突発破綻しやすい特徴もありますね。

(1)建設会社の倒産

建設業界は、景気の影響を非常に受けやすい業種であるため、不景気になれば民間需要は減少します。公共事業は、景気対策として不況になれば拡大されてきたため、建設会社の経営を安定させてきました。

日本政府は、バブル崩壊後に公共事業を増やしてきましたが、小泉改革と民主党政権により公共事業は激減しています。建設会社は、中小零細企業が多い業種であるため、多数の企業が倒産してしまいました。

建設業界は、スーパーゼネコン6社体制は続いていますが、中堅以下のゼネコンは再編が続いています。大手建設会社は、バブル崩壊後の不良債権処理による経営再建が進んでおり、アベノミクスにより過去最高益を更新した企業が続出していますね。
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(2)東昭建設の会社概要

1948年出口工務店開業
1949年東昭建設㈱設立
栃木県矢坂市の地場ゼネコン
創業者の出口氏は地元の名士として活躍

東昭建設は、1948年に創業者の出口氏が出口工務店を開業しており、1948年に東昭建設を設立して法人化しています。東昭建設は、栃木県矢坂市の地場ゼネコンであり、地元でも規模の大きい会社として有名だったようです。

創業者の出口氏は、東昭建設の規模拡大に成功しており、売上高を数十億円規模にしています。栃木県矢坂市は、2016年の人口が3万3千人程度のため、売上高の規模を考えれば地元でトップクラスの規模だったのでしょう。

地方では、地元企業の経営者や郵便局長などの名士が、市議会議員や町議会議員になっていることはよくある話です。東昭建設は、出口氏が矢坂市の市議会議員を長期間務めていたため、地元の有力者として有名だったと言えそうです。

(3)東昭建設の業績

1993年5月期売上高約80億円
2015年5月期売上高約18億6900万円
建設会社や不動産会社は業績が変動しやすい

建設会社は、巨大プロジェクトを受注したときに、資金調達に成功すれば売上高は急激に拡大します。バブル期は、大手建設会社や不動産会社が組んで、巨大プロジェクトの融資を銀行が行っています。

カブトデコム倒産解散の理由をまとめましたが、都市銀行が不動産開発を支援しており、バブル期は景気のよい会社が増えています。建設会社は、製造業のように定期的な在庫資金がないものの、資金調達と受注に成功すれば規模が拡大します。

東昭建設は、バブル直後に売上高が約80億円になっていますが、20年後は売上高が激減しています。中小企業は、業績が不安定であると言われていますが、建設会社や不動産会社はさらに倒産しやすい業種であると言えますね。

(4)東昭建設の経営再建

東昭建設は不良債権が1億円発生した
東昭建設は支払遅延が発生しており資金繰りが厳しい
2013年2月銀行が債権をオフバランス化して支援している
2016年5月広島建設のグループ会社として㈱東昭建設に事業移管

信用調査会社は、東昭建設の不良債権や支払遅延についてまとめているため、経営再建や資金繰りについて見てみましょう。建設会社は、特定プロジェクトに売上高を大きく依存することがあるだけでなく、取引先の信用力が低いことも多いです。

東昭建設は、業績が悪化する中で多額の不良債権が発生しているため、資金繰り悪化したことは容易に想像がつくでしょう。信用調査会社は、支払遅延が発生すれば会社の重要事項としてチェックしているため、東昭建設の信用力は悪化することになります。

取引銀行は、債権放棄により経営支援をしたのかは不明ですが、オフバランス化は不良債権処理が行われていたということです。東昭建設は、新会社に事業移管を既に行っており、旧会社のエスティを破産させて再生処理を行ったと言えそうですね。

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