(1)自動車業界の動向
自動車は、3万点の部品が一つでもなければ製造できないため、多数の下請け会社が製造に協力しています。熊本地震や東日本大震災は、自動車部品工場が被災したため、完成車の生産を一時停止した自動車メーカーもあります。日本は、軽自動車の人気が非常に強い特殊な市場になっており、ダイハツやスズキが二強として激しい競争をしています。軽自動車は、低価格低燃費なだけでなく、自動車税も排気量が小さいので優遇されてきました。
三菱自動車は、日産自動車と軽自動車のOEM供給で提携しており、工場稼働率を上げることに成功しています。自動車業界は、提携や部品供給が複雑化しているため、不祥事が発覚すれば影響は大きくないやすいということですね。
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(2)自動車業界の特徴
- 大手完成車メーカー
- 大手部品生産メーカー
- 多数の下請け企業がある
- 部品が一つでも足りなければ生産できない
大手完成車メーカーは、日本を代表する一部上場企業のため、資金力の豊富な企業が多くなっています。自動車部品業界は、世界を代表する部品メーカーもあれば、中小零細企業まで裾野の広い産業です。
中小企業は、小さな自動車部品を生産している会社もありますが、部品が一つでも足りなければ自動車を生産できなくなります。大手企業は、不況や災害により一時的に生産停止したとしても資金繰りに問題はないですが、中小企業の部品メーカーは資金繰り倒産することもありますね。
(3)安藤工業所の会社概要
- 1987年設立
- 取引先 地元自動車部品メーカー
- 製造製品 三菱自動車の座席用フレームの溶接加工
- 自動車会社の設備投資にあわせて処理能力を拡大
- 三菱自動車関連の売り上げが全体の80%を占めていた
三菱自動車水島製作所は、岡山県倉敷市水島にあるため、すぐ隣にある大手企業であると言えます。自動車メーカーは、完成車の生産台数を増やすためには、下請け企業も設備投資を負担していかなければなりません。
三菱自動車は、水島製作所が軽自動車の主力車種を生産してきましたが、燃費不正発覚後に生産停止しておりブランド力も低下しています。安藤工業所は、三菱自動車関連の売上が全体の80%になっていたため、急な三菱自動車の生産停止に対応できなかったということですね。
(4)自動車工場は地域経済に影響が大きい
- 産業の裾野が広い
- 雇用に与える影響が大きい
- 地域経済に与える影響が大きい
自動車産業は、中小企業の雇用を増やしているだけでなく、飲食業やサービス業を労働者が利用します。企業城下町と言われる地域は、特定企業に大きく依存しているため、企業と町が同じように発展してきました。
リーマンショックは、輸出企業に大きな打撃を与えてリストラを行ってきましたが、企業城下町も税収減少でボロボロになっています。安東工業所の倒産は、大手企業の不祥事による影響は、末端の下請けに大きな影響を与えたことが表面化したということですね。 スポンサードリンク
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