(1)飲食店の倒産
飲食店は、参入障壁になるものがあまりないため、開業することにより一攫千金のチャンスはあります。参入障壁がないということは、一度成功したとしても、何かのきっかけがあれば転落して倒産しやすいということですね。ブランドや差別化は、参入障壁を高めるための大きなポイントになりますが、マクドナルドのような有名企業も日本市場は苦戦しています。日本市場は、多種多様な食べ物があるだけでなく、チェーン店の食べ物も美味しいことが特徴的でしょう。
飲食業界は、大手チェーン店や零細企業の競争がも激しいだけでなく、コンビニとの市場の取り合いにもなっています。大手飲食チェーンは、株式公開することにより資金力やブランド力を高めるだけでなく、三菱商事や伊藤忠商事などの総合商社から出資を受け入れている会社もありますね。
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(2)大手回転寿司チェーン店
- スシロー 外資系ファンド
- カッパ寿司 神明からコロワイドが買収
- アトム コロワイドの子会社
- くら寿司 上場企業
- 元気寿司 神明の子会社
- 大手企業は上場企業や上場企業グループになっている
- 回転寿司業界は資金力のある大手企業により寡占化している
とっぴーは、北海道で有名な回転寿司ですが、北海道9店舗、福島県3店舗を展開しています。スシローは、日本国内だけでも400店舗以上を展開しており、企業規模に大きな格差がありますね。
回転寿司業界は、資金力のある大手企業による寡占化が進んでおり、新規参入の難しい業界に変化しています。とっぴーの倒産は、数店舗をチェーン展開する飲食店であっても、外食業界を生き延びることは難しいと言えそうですね。
(3)とっぴ~会社概要
- 1991年 とっぴ~1号店出店
- 2000年 とっぴい運営会社を設立
- 2003年前後 北海道の道外に出店
- 2015年6月1日 民事再生を申請
- 2016年1月7日 民事再生計画が否決される
- とっぴいは民事再生計画の否決により破産申請にうつる見込
- とっぴいの大口債権者は複数の金融機関が再建計画に反対している
とっぴーは、2015年6月に民事再生を申請して倒産していますが、債権者から再生計画が否決されて倒産しています。北海道新聞によれば、とっぴーの再生計画は、債権者46人中4人が否決したため債権総額の29%から賛成を得られなかったようですね。
とっぴーは、大口債権者から再生計画の同意を得られていないため、倒産後の会社再生に失敗していたようです。とっぴーの債権者名簿を把握していませんが、NHKによれば金融機関が再建計画に反対したことが報じられています。
企業は、銀行借り入れにより資金繰りや設備投資を行っているため、大口債権者はメインバンクを中心とした銀行が一般的です。とっぴーは、銀行の再建計画反対により破産したのであれば、粉飾決算や不透明な資金移動だけでなく特定債権者だけを優遇した可能性も妄想しました。
(4)為替リスクによる倒産
- デリバティブ取引は決算書から分かりにくい
- 為替レートが円高のときに輸入企業が損をする取引がある
- 為替レートが円安のときに輸出企業が損をする取引がある
- デリバティブ取引は社長や役員しか知らずに経理の社員も知らないことがある
- デリバティブ取引による含み損や損失確定をすれば突然リストラが始まるときがある
デリバティブ取引の詳細は、細かく解説している記事を見てもらえばいいのですが、最大の問題点は決算書から分かりにくいことです。デリバティブ取引は、決算書から痕跡が見えるときはありますが、簿外取引になるため経理部の社員も知らないことがあります。
中小企業も、海外からの輸入取引を行っている会社は多いため、為替レートが急激に変動すれば大損失を発生させた会社もあります。貿易取引のある会社は、リーマンショックのように為替が急激に変動すれば、突然リストラが始まったり会社が倒産することもありますね。
(5)回転寿司業界の特徴
- ITシステムへの投資
- 回転寿司レーンの投資
- 寿司は刺身が生もののため鮮度が重要になる
- 海産物はドル建取引の為替リスクがあるため資金力が重要になる
回転ずしは、食べに行ったりテレビで紹介されているため、レーンの改造や新しい取組みは分かりやすいと思います。回転ずしは、冷凍刺身を輸入することが多いため、為替レートの変動が業績を直撃することは知られていないでしょう。
リーマンショックのときは、為替レート円高ドル安が急激に進んでいたため、デリバティブ取引の失敗により海鮮関係の輸入取引がある会社は倒産が続出しています。回転ずし業界は、顧客に飽きられないための継続的投資やアイデアが必要になるだけでなく、為替リスクを管理するための財務管理も重要になる業界ですね。 スポンサードリンク
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