(1)石油暴落による破綻
原油価格は、2014年から暴落が続いており、1バレル100ドルから20ドル台まで暴落しました。石油の採掘コストは、油田によって価格が異なるため、深海油田やオイルサンドのような高コスト原油は採算割れになっています。産油国は、石油を掘るためのコストが1バレル数ドルの国もあれば、1バレル100ドル近い価格の国まで幅広くなっています。ブラジルやベネズエラは、石油の採掘コストの高い国であるため、現有価格暴落の直撃を受けました。
ペトロブラスは、資源価格の下落により株価暴落が止まらなくなっているだけでなく、ブラジル通貨の信用不安を引き起こしています。ベネズエラは、主要産業が資源輸出しかないため、石油価格の暴落により国家破綻が深刻化していますね。
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(2)資源の採掘までは時間がかかる
- 採掘権獲得
- 資源の探鉱
- 資源の試掘
- 資源の採掘
資源国は、資源ナショナリズムの高まりにより、多国籍企業が資源採掘により利益を得ることを批判しました。多国籍企業は、資源国からの採掘権を獲得するコストが値上がりしたため、資源価格が値下がりすれば撤退が早まる皮肉な結果になっています。
資源ビジネスは、採掘権獲得から採掘まで数年かかるため、投資回収までに5年以上必要になることがよくあります。資源国は、石油や天然ガスの値上がりにより歳出を増やしてきましたが、採掘コストを下回る価格になれば資源ビジネスは1円の利益もない悲惨な事態になりますね。
(3)石油会社の投資リスク
- 資源国の革命 イラン革命
- 資源国の権益要求 国有化や分配増加
- 資源価格の値下がり シェール革命による増産
- 消費国の需要が減少する 中国の需要が激減する
- 石油会社の投資コストよりも資源価格が安くなる
株式市場は、石油メジャーの投資リスクを株価に折り込んでいるため、投資のリスク要因が多くても割安になるだけのため問題ありません。資源国のばら撒きは、資源ビジネスの利益が多いことを見込んでいますが、株式市場の資源企業が評価されているようにリスクの高いビジネスであることを忘れています。
産油国は、独裁国家が多いためばら撒きを簡単に減らすことができずに、外貨準備が急速に減少したり通貨安が進んでいきます。産油国と石油メジャーを比較すれば、資源価格の下落より利益が減れば、新興産油国のほうが簡単に国家破綻するということですね。
(4)外資撤退により競争力低下
- 自国企業からの調達優先
- 外資系企業の権益を没収
- 設備が古くなり資源採掘量が減少
- 設備が古くなり価格競争力が低下
ブラジルは、ペトロブラスの海底油田発見により再国有化を行ったうえに、ブラジル企業から設備調達するように圧力をかけました。ペトロブラスは、低品質の製品を割高に調達しており、政治家の汚職コストが採掘コストに上乗せされています。
ベネズエラは、外資が撤退したため石油採掘設備が古くなったため、資源採掘量が減少して価格競争力が低下しました。資源の国有化は、産油国の財政が豊かになる政策に見えますが、ばら撒き優先や汚職により競争力を低下させたということですね。
(5)資源国の混乱
- 治安が悪化していく
- 通貨安 外貨準備高の減少
- 通貨安 インフレによる物価高
- スタグフレーションによる国家破綻
資源国通貨は、石油暴落により通貨安になることが連想されてるため、投資家や国民が通貨の売却を続けます。資源国政府は、通貨の暴落による輸入インフレを防ぐために、為替介入を行っているため外貨準備の減少が止まらなくなっています。
資源国は、不景気とインフレが同時に進行しているため、スタグフレーションにより国家破綻しています。資源国が破綻した理由は、資源ビジネスは資金回収が長いビジネスであるため、ばら撒きが増えれば国家破綻するということですね。 スポンサードリンク
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