(1)美術出版社の会社概要
- 1905年に創業
- 1944年に法人化
- 1948年に美術出版社の社名変更
- 美術出版社は美術関連の老舗企業
- 日本には業歴100年を超える老舗企業が多い
日本は、伝統を大切にする歴史の長い国であるため、老舗企業が多いと言われてきました。老舗企業は、世の中の変化に柔軟に対応することで、業種を変えながら生き延びている会社も多くあります。
美術出版社は、老舗出版社として多角化を行っていたようですが、借入の負担が重いため倒産したようです。就職や投資は、会社の将来を見極める必要はありますが、倒産に備える準備も重要な時代になっていることが分かりますね。
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(2)美術出版社の売上高推移
- 美術出版社2009年3月期の売上高17億4000万円
- 美術出版社2013年3月期の売上高11億3000万円
- 美術出版社2014年3月期の売上高12億1000万円
- 美術出版社2014年9月期の負債総額19億6000万円
美術出版社は、直近2年間の売上高を比較すれば、売上が少しだけ回復しているようにも見えます。美術出版社の負債総額は、年間売上高を超える水準になっているため、借入返済が困難になっていたのでしょうね。
美術出版社は、美術関連の出版事業だけでなく、商業印刷事業にも力を入れていたようです。美術出版社は、対象とする市場が縮小しているため、業績の大幅な伸びは難しかったと言えそうですね。
(3)美術出版社の事業
- 美術手帖が主力雑誌
- カラー版西洋美術史
- カラー版日本美術史
- 美術出版社は年間30点から40点を発刊
- 美術展のカタログやポスター制作を行っていた
- 美術検定試験を主催してきた
伝統のある業界は、保守的なため新規参入が難しいだけでなく、芸術は権利問題が複雑になります。美術展のポスターであれば、作品がパンフレットやポスターに掲載されるため、権利関係の処理も複雑になるのではないかと推測しました。
美術出版社は、出版事業で得た信頼を強みにして、商業印刷事業を拡大してきたのではないかと考えました。美術出版社は、倒産する前に新規事業を開拓していたようですが、主力事業の縮小を補えなかったのではないでしょうか。
(4)美術出版社の事業動向
- 美術出版社の出版事業は業界が縮小傾向
- 美術出版社の出版事業はインターネットの影響
- 美術出版社の商業印刷は業界の寡占化が進行
- 美術の画像をインターネットで簡単に調べられるようになった
栗田出版販売倒産の理由をまとめましたが、出版業界の新刊大量発刊は質の低下に繋がるため、消費者の満足度も低下している可能性があります。美術出版社のような専門出版社であっても、インターネットの発達により、大きな影響が発生したのでしょう。
美術出版社の出版事業は、100年以上の歴史ある老舗企業でしたが、インターネットの画像検索技術の発達が影響した可能性がありそうです。商業印刷は、凸版印刷と大日本印刷の売上高が突出しているうえに、市場縮小で競争が激しくなっています。
美術出版社の商業印刷は、特殊な市場の可能性はありますが、売上高の拡大は借入過多により限界があったのでしょう。美術出版社は、民事再生により倒産していますが、今後の経営再生や出版に注目している人は多いでしょうね。 スポンサードリンク
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