トムインターナショナルスクール倒産の理由

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トムインターナショナルは、英会話を強みにしており、保育園事業を運営してきました。保育園事業は、乳幼児を相手にしておりリスクが高いため、死亡事故が発生して破産に繋がっていますね。


(1)保育業界の動向

非正規雇用は、バブル崩壊後に増加を続けているため、派遣社員や契約社員が一般的になりました。大手企業は、アベノミクスによる業績回復により余力がでたため、新卒市場は求人倍率が改善して売り手市場になっています。

保育業界は、非正規雇用の増加が続いているため、保育士の給与格差は激しくなっています。公務員の保育士は、給料が一般保育士の2倍以上も収入があるため、公立保育園の非正規雇用割合も高くなっています。

保育士は、東京や大阪などの都市部で不足していると言われているため、規制緩和により保育士資格がなくても働きやすくなっています。保育業界は、政治家による政争の道具として注目を集めてきましたが、高所得者層の国会議員はベビーシッターを雇うべきだという指摘もあるようですね。
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(2)トムインターナショナルスクールの会社概要

  1. 保育事業を多角化
  2. 0歳児保育から幼児教育まで行う
  3. 保育園だけでなく幼児英語教室や英会話スクールを展開
トムインターナショナルスクール倒産の理由について、信用調査会社が発表しているため、トム保育園の実体について見てみましょう。乳幼児は、仕事の合間に預ける保育ニーズだけでなく、英才教育による教育ニーズもあります。

語学教育は、子供の頃から早い時期に行ったほうが有利になるため、教育投資にお金を惜しまない家庭が多いですね。インターナショナルスクールは、子供の英語教育や中国語教育などを行うことができるため、教育熱心な家庭には人気があります。

トムインターナショナルスクールは、0歳児保育を行うだけでなく、語学教育を付加価値として提供してきました。保育業界は、保育士1人が面倒を見れる子供の数が限られるため、付加価値をつけなければ売上を増やすことのできない業界ですね。

(3)トムインターナショナルスクールの戦略

  1. 大卒外国人講師を採用
  2. 子供にバイリンガル教育を行う
  3. 2015年3月期売上高 約8000万円
  4. トム英会話学院は月間500名近くの子供
トムインターナショナルは、トム英会話学院を運用しており、外国人講師を採用していました。NOVA倒産横領の和解金が安いことをまとめましたが、

保育園事業は、JPホールディングスなどの上場企業や大手企業の福利厚生として競争が激しくなっているため、トムインターナショナルは語学教育を差別化の要因としてきました。保育園は、労働集約的なビジネスとして付加価値を生むことが難しいため、語学教育は親にとって魅力的に見えるでしょう。

トム英会話学院は、月間500人の幼児教育を行っていれば、まとまった規模になっていることが分かります。トムインターナショナルの売上高は、2015年3月期に8000万円ということですが、外国人講師や東京都の不動産賃料を考えれば事業運営は厳しかったかもしれないですね。

(4)保育園事業の法令違反

  1. 東京都福祉保険局
  2. 保育園の面積不足があった
  3. 保育士資格有資格者の配置不足
  4. 東京都が繰り返し改善勧告を指摘
  5. 2015年2月5日 2歳児の死亡事故により運営休止
保育園事業は、乳幼児を相手にするため公的性格の強いビジネスになるため、体が非常に弱いことがデメリットになります。一人当たりの生産性を向上させるためには、派遣社員の割合を増やすことか、賃料の安い場所で経営することがメインになります。

東京都は、人口密度が高く保育ニーズも高いですが、面積の要件が一律に適応されれば保育事業が一番不利な地域になります。東京駅前の超高層ビルに、保育事業を開業すると仮定すれば、行政やビルオーナーからの支援がなければ賃料が高すぎるため不可能でしょう。

トムインターナショナルが、語学学習を付加価値として提供するとしても、語学学校とは異なり乳幼児では限界があります。東京都は繰り返し改善勧告を出してきましたが、乳児の死亡事故が発生したため、運営休止になり破産していますね。

(5)大手企業の保育事業

  1. JPホールディングス売上高200億円
  2. 子育支援として補助金増加の政策期待がある
  3. 企業内が福利厚生として企業内保育園を補助
  4. 保育政策は福祉政策のため値上げが非常に難しい
  5. 保育園は労働集約型のサービス産業のためインフレに弱い
保育園は、福祉政策として運営されているため、国の政策に大きく左右されることになります。安倍政権は、少子高齢化対策に力を入れているだけでなく、2016年の参議院選挙前のため保育政策が注目を集めました。

JPホールディングスは、保育業界最大の上場企業になっており、子育て関連の年間売上高が200億円になります。保育園は、歴史的に宗教団体が兼業として行っているところもあるため、保育園事業単体で収益を増やすという発想ではありません。

保育士は、保育事業単独の利益が増えにくいだけでなく、規制緩和により保育資格がなくても非正規雇用による採用がしやすくなっています。保育士は、民間企業と社会福祉法人の競争が激化しているだけでなく、政策の影響を受けやすい不安定な業界であるということでしょうね。
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