サントリー買収の歴史 ジムビーム買収と三菱東京UFJ銀行の融資

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サントリーの買収を見ると、ビーム買収成功で世界3位のメーカーに浮上します。サントリーが、三菱東京UFJ銀行から単独融資なのは、シンジゲートローン手数料の節約などもありそうですね。


(1)銀行ローン審査のゆるい理由と金利低下

企業や家計は、資金需要が急激に増加したときに、銀行ローンで資金繰り倒産を防ぐことが多いですね。売上や多額の資産を保有していたとしても、手元資金が不足しており、約束手形の支払を行うことができなければ会社は倒産することになります。

銀行ローンは融資期間が長くなるとリスクが大きくなりますので、短期融資の銀行審査は、長期融資の審査より緩いと言えます。銀行は多額の預金を計上していますが、法人融資の伸び悩みが続いているため、銀行審査の緩い金融商品や金利低下により積極的な融資を行っていると言われています。
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(2)サントリーの企業買収と金額

  1. 1980年ペプコム買収金額220億円 米国ペプシ系ボトラー 1999年にペプシコと合弁会社設立
  2. 1985年ケンウッド・スプリング・ウォーター 買収金額100億円 米国 ボトルウォーター事業
  3. 1989年モリソン・ボウモア買収金額150億円 英国 スコッチメーカーを1994年買収
  4. 2004年ルジェラグート資本参加20億円 フランス
  5. 2006年上海富仕達醸酒20億円 中国 オーストラリアのフォスターから買収
  6. 2008年モーツァルト・ディスティラリー買収金額10億円 豪州 高級チョコレートリキュール
  7. 2008年フルコアグループ買収金額750億円 ニュージーランド エナジードリンクなどの会社
  8. 2009年オランジーナ・シュウェップス買収金額3000億円 フランス 世界60カ国に販売
  9. 2009年ガルダフードグループの飲料事業 買収金額100億円
  10. 2013年グラクソ・スミスクラインの飲料事業 買収金額2100億円 英国 欧州と新興国の強化
  11. 2014年ビーム買収金額1兆6500億円 サントリーの蒸留酒部門が世界3位
サントリー買収の歴史について、2014年1月25日の東洋経済がまとめていますので簡単に見てみましょう。サントリーは日本を代表する飲料企業ですが、海外企業の買収を積極的に行っていることが分かりますね。

世界ビールランキング比較評価をまとめましたが、ビール業界は再編が進んでおり、企業規模の巨大化が進んでいます。サントリーは、ウイスキーの大手企業を買収していますが、ビールで世界規模の競争をするよりも勝算は高いと言えそうですね。

サントリーのオランジーナ・シュウェップス買収は、海外基盤の強化や日本国内で製品拡販により成功したと言われています。サントリーはジムビームなどのビーム社を買収しましたが、利益を拡大する戦略を打ち出せるか注目ですね。

(3)世界の主要スピリッツランキング オーナーと販売金額

  1. ジョニーウォーカー ディアジオがオーナー 6668百万ドル
  2. ジャックダニエル ブラウンフォーマンがオーナー 3964百万ドル
  3. ヘネシー LVMHがオーナー 3743百万ドル
  4. アブソルート ベルノリカールがオーナー 2954百万ドル
  5. キャプテンモーガン ディアジオがオーナー 2329百万ドル
  6. マーテル ベルノリカールがオーナー 2328百万ドル
  7. ジムビーム ビームがオーナー 1562百万ドル
  8. ジェームソン ベルノリカールがオーナー 1249百万ドル
  9. ブキャナン ディアジオがオーナー 1217百万ドル
  10. シロック ディアジオがオーナー 833百万ドル
サントリーが買収したジムビームについて、2014年1月25日ダイヤモンドが報じている、世界の主要スピリッツランキングでオーナーと販売金額を見てみましょう。サントリーの買収金額160億ドルで、約1兆7000億円になることが話題となっていますが、上位のブランドが他にも多いことが分かります。

サントリーホールディングスは2013年から日本でジムビームの販売代理権を保有、ビーム社は東南アジアでサントリー商品を販売しており、買収後の動向に注目ですね。サントリーとジムビームの業績、蒸留酒の市場規模を見ると、サントリーが買収にチャレンジした意味が分かりやすいですね。

サントリーは競合よりも借金が多かったため、財務の健全性の問題から投資案件の見送りを繰り返していました。サントリーホールディングスは、自社の市場環境や子会社上場などを検討した結果、約1年前から検討していたビーム社の買収に成功したようですね。

(4)英国の調査会社 IWSRが市場規模を調査

  1. 2012年蒸留酒の世界市場規模 約1711億ドル 約18兆円 2年連続6%の成長
  2. 2012年蒸留酒の日本市場規模 約71億ドル 約7500億円 3%の成長
  3. 2012年サントリーHD売上高 蒸留酒事業2394億円
  4. 2012年ビーム社の売上高 蒸留酒事業3224億円
  5. 2012年ビーム社の営業利益 約600億円
  6. サントリーHDの蒸留酒 世界10位
  7. サントリーHD 日本市場ウイスキー市場でシェア6割
  8. サントリーHD 海外の種類事業は小さく、買収金額も小さい
サントリーは、飲料事業と酒類事業が大きな柱となっていますが、それぞれに大きな特徴がありますね。サントリーが得意としている蒸留酒事業ですが、世界市場規模は拡大していますが、日本市場規模の拡大は小さく、ビーム社買収により世界中の販路を手に入れる恩恵がありますね。

サントリーの飲料事業は、オランジーナなどの買収で世界市場への販路拡大と日本市場での売上増加により、飲料事業の業績拡大に成功しました。サントリーの蒸留酒事業は大型買収を行っておらず、1989年モリソン・ボウモア買収金額150億円と2004年ルジェラグートの資本参加20億円となっています。

サントリーの蒸留酒事業は、日本市場で圧倒的なシェアがある分野はありますので、世界市場への展開が課題となっています。サントリーは飲料事業の買収成功による世界展開や買収後の経営ノウハウを生かして、ジムビーム買収後に種類事業を世界市場で拡大する経営戦略を大胆に示したと言えますね。

(5)サントリー株式公開と三菱東京UFJ銀行の融資で資金調達

  1. 2013年7月3日 サントリー食品インターナショナルの上場 株式売却益4000億円
  2. 2013年7月3日 サントリー食品インターナショナルの上場 実質無借金に財務改善
  3. 2014年1月13日 サントリーホールディングスが160億ドルでビーム買収の合意を発表
  4. 2012年ビーム社の営業利益 約600億円
  5. ビーム買収 のれん代が約9000億円
  6. 三菱東京UFJ銀行が1兆円4000億円のつなぎ融資
  7. シンジゲートローン手数料の節約 数十億円から数百億円
サントリーは、子会社の上場により多額の資金調達で実質借金経営になり、財務が大きく改善しました。サントリーホールディングスは、財務改善と銀行融資の金利低下局面を生かして、三菱東京UFJ銀行から1兆円を超える融資を受けることに成功しています。

三菱東京UFJ銀行2014年決算 融資増加の理由をまとめましたが、タイの銀行買収など海外融資増加が続いています。サントリーの買収戦略を、三菱東京UFJ銀行はメインバンクとして支援に成功しており、海外融資残高が増加することになりますね。

ソフトバンクのスプリント買収成功が話題になりましたが、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行などのシンジゲートローンで資金調達を行っていました。サントリーは三菱東京UFJ銀行の単独融資に成功しており、シンジゲートローン手数料の節約に成功したと言えそうですね。

(6)三菱東京UFJ銀行グループの大きなメリット

  1. サントリーの単独メインバンクに浮上
  2. 大企業のメインバンクは外為収益や決済手数料などの収益が大きい
  3. 大企業のメインバンクは買収提案や証券業務など手数料収益が大きい
  4. 三菱東京UFJ銀行が1兆円4000億円のつなぎ融資
  5. 三菱東京UFJ銀行グループで今後は社債発行や銀行融資の提案
  6. 三菱UFJモルガンスタンレー証券 サントリーのフィナンシャルアドバイザーとして成功
  7. 三菱UFJモルガンスタンレー証券 アドバイザリー業務だけの手数料は約3400万ドルの推計
三菱東京UFJ銀行グループは、サントリーのビーム買収成功により大きな収益を得ることに成功しています。サントリーだけでなく、メインバンクの銀行は銀行融資の金利収入だけでなく、外為収益などの手数料収益や創業家の相続など多様なサービスを獲得しやすくなります。

サントリーのビーム買収に、三菱東京UFJ銀行は銀行融資、三菱UFJモルガンスタンレー証券は買収のアドバイザリー手数料獲得に成功しています。サントリーがソフトバンクに近い買収の資金調達を行うのであれば、機関投資家向け社債や個人投資家向けの社債発行の業務も受託できるでしょうね。

三菱東京UFJ銀行 国債保有の口コミ破綻をまとめましたが、メガバンクの国債売却を懸念する声は以前からありました。三菱東京UFJ銀行など、大手銀行は買収案件の融資を増やしており、企業からの税収が増加すれば特に問題はないと言えそうですね。

(7)サントリーの相続問題は前進

  1. サントリーホールディングス 非上場企業
  2. サントリーホールディングス 大株主 寿不動産が約9割
  3. サントリー食品インターナショナル 東証一部上場
  4. サントリー食品インターナショナル サントリーホールディングスが筆頭株主
  5. 寿不動産 サントリー創業家の資産管理会社
  6. 寿不動産株式の相続はサントリー食品インターナショナルの上場で対応しやすい
サントリーは創業家の相続問題が指摘されていましたが、サントリー食品インターナショナルの大型上場により相続問題は乗り切れそうですね。サントリーは日本を代表する企業ですが、非上場企業ですので寿不動産株式の相続は巨額になりますが、サントリー食品インターナショナルが上場したことで融資などの対応が容易になります。

アンハイザーブッシュインベブ業績と買収メリットをまとめましたが、ビール業界は巨大企業の再編は進んでおり、サントリーやキリンなどの日本企業は挽回が不可能でしょう。サントリーは、規模拡大が不可欠になっているため、上場により資金調達と相続問題の解消を行なったと言えます。

サントリーホールディングスは非上場企業ですが、サントリーインターナショナル上場と上場で得た資金で、さらなる買収を行っており積極的な経営と言えそうですね。サントリーはビーム買収により成長の道筋をつけましたが、三菱東京UFJ銀行は巨額融資や投資銀行業務など多額の収益を得ることに成功したと言えます。
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