(1)ブームと倒産
テレビや雑誌の紹介によりブームが発生すると、商品の売り上げが増加して、企業業績は大きく伸びることになります。ブームの特徴は、売り上げが急激に増加することで在庫が足りなくなりますので、設備投資や工場新設などで対応する企業が多いですね。ブームの発生により設備投資を行う場合、手元資金だけでなく銀行借入により設備投資を行うことが多いです。企業の成長を見越して設備投資を行ったものの、一時的に売上高が増加した後に、業績不調となり融資返済が困難になることがあります。
企業業績は融資利息、固定費や減価償却費などにより赤字傾向になりますので、銀行融資も困難になることが多いですね。一時的なブームにより投資を行い過ぎると、最終的に資金繰りが悪化して倒産することはよくありますね。
スポンサードリンク
(2)ハートランドの企業概要
- ハートランド代表 佐藤薫 竹麓輔が通称
- ハートランド従業員数 34人
- 1987年ごろ ラーメン屋の蔵屋を友人と共同で開業
- 1996年12月24日 むつみ屋を開業 北海道樺戸郡月形町
- 1997年道新スポーツ あなたが選ぶラーメン大賞 むつみ屋が選ばれる
- 2000年6月 ハートランド設立 フランチャイズチェーン経営業者でラーメン店が中心
- 2002年12月 テレビ東京系ラーメンカップ2002 人気店カリスマ店主10名に選ばれる
- 2013年11月1日 ハートランドが自己破産を申請
- 負債総額 約15億3000万円 債権者約195名
むつみ屋は、道新スポーツでラーメン大賞に入賞してからハートランドを設立していますね。むつみ屋は開業当初、お客さんが少なかったようですが、メディアでの露出をきっかけに売り上げが急速に増加することになります。
ストロングサトウ倒産の理由をまとめましたが、むつみ屋だけでなく、人気ラーメン店はテレビを通じて知名度の拡大に成功しています。むつみ屋やストロングサトウのように、ラーメン店を店舗拡大していくために、外食店がフランチャイズ展開していくことはよくある話ですね。
(3)フランチャイズ加盟店の増加で収入増加
- 2002年12月 テレビ東京系ラーメンカップ2002 人気店カリスマ店主10名に選ばれる
- ハートランドが直営とフランチャイズ店を合わせて150店舗近くまで拡大
- フランチャイズ加盟店の増加でロイヤリティ収入が増加
- 2004年12月期売上高 約41億3800万円
フランチャイズで有名なのはコンビニですが、自社で店舗を保有したりする必要がないため、資産が膨らまない上にロイヤリティ収入が得られるので経営体質が優良ですね。フランチャイズ展開した場合、ブランド力が低下したり本部の商品力が低下すると、フランチャイズ店が倒産して本部の収入も激減することになります。
(4)フランチャイズ脱退と閉店 ラーメン業界の競争激化
- ラーメン業界の競争激化で来店者数が減少
- むつみ屋のフランチャイズ加盟店が脱退
- むつみ屋以外の業績不振
- 本店の移転、不採算店や従業員のリストラ
むつみ屋は本店を移転したり、リストラを行いましたが売上高の減少傾向に歯止めがかからなかったようですね。フランチャイズ展開は、ブランド力が高ければ自社の資金を投入せずに収益を得られるため、利益率が高くなりますがブランド力が低下すれば加盟店が脱退するリスクが高いです。
(5)資金繰りの悪化と不動産差押え
- 2004年12月期売上高 約41億3800万円
- 2012年12月期売上高 約8億円 営業赤字
- 銀行借入金が多角化で増加 売上減少で融資返済が困難になる
- 中小企業金融円滑化法でリスケ
- 2012年7月 銀行が所有不動産の仮差押え
- 複数の銀行が訴訟や差押え等の法的措置
- むつみ屋の資金繰りが急速に悪化
ハートランドは、所有不動産が銀行から差押えを受けており、銀行融資の返済が困難になっていたことが分かりますね。むつみ屋は自己破産を申請していますので、管財人が所有不動産を処分する可能性がありますが、むつみ屋が事業再生するのか注目です。むつみ屋の仕入先はサクラ食品工業のようですが、YCP Retailingの信用補完で取引継続できるのかもポイントになりそうですね。 スポンサードリンク
0 件のコメント:
コメントを投稿