エドウィン倒産危機 ADRの理由

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エドウィンは倒産危機が報じられていますが、ADR申請を行っています。エドウィンは粉飾決算発覚から1年経過しており、ADR成立はハードルが極めて高いため、法的整理に移行するのか注目ですね。

(1)会社倒産 私的整理とADR

会社のは株主のものという言葉がはやりましたので、大株主の力が極めて強いイメージを持っている方が多いと思います。会社の実務面で考えると、債権保護のために債権者には極めて強い、権限が与えられているのが実情ですね。

会社の将来性が有望であれば、増資による資金調達が行われますが、非上場企業であれば1000億円以上の企業であっても増資による資金調達は困難ですね。大企業であっても、銀行融資や手形決済の資金繰りが逼迫すれば倒産することになります。

債権者の経済合理性を考えると倒産よりも、私的整理により毎月の返済金額を延ばしたり、一時的に融資返済を待った方が融資回収金額が大きくなることがあります。私的整理により、大口債権者の銀行と話し合うことはよくありますが、林原の事例を見ても事業再生ADRは、高いハードルのある私的整理であると言えますね。
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(2)エドウィン粉飾決算の概要

  1. エドウィンのデリバティブ損失 300億円以上
  2. エドウィンの資産架空計上 600億円
  3. エドウィンの債務超過 500億円
  4. 粉飾決算 10年以上
エドウィンは簿外の証券投資に失敗したことで、200億円の損失が発生していることは、2012年8月に報じられていました。エドウィンの粉飾決算やデリバティブ損失について、管理人が別のサイトで以前にまとめていましたが、損失を隠すために資産の架空計上を行って粉飾決算を行っていました。

エドウィンは伊藤忠商事などが、2012年12月頃スポンサーになる可能性について報じられていましたが、公式発表がないため経営再建が進んでいなかったということですね。エドウィンの粉飾決算発覚から1年以上が経過していますが、経営再建は進んでおらず、事業再生ADRの申請を行っていますね。

融資返済と林原倒産 銀行と弁護士を見ると、事業再生ADRの成立は銀行の承認が必要であるため、債権放棄などの経営再建は困難であることが分かります。エドウィンの直近数ヶ月の業績は不明ですが、林原は経営者が資産の拠出で経営責任を明確化していますので、エドウィン経営陣の経営責任が気になりますね。

(3)エドウィン事業再生ADRの申請

  1. 2013年8月 証券投資で200億円の損失など粉飾決算が発覚
  2. 取引銀行 エドウィンは10数回のバンクミーティング
  3. 取引銀行の意向は足並みがそろわず再建計画策定が進まず
  4. 2013年10月21日 東京都で債権者集会が開催
  5. 2013年10月21日 債権者集会に取引先約130社が参加
  6. 2013年10月21日 野村総研が業績や資金繰りに問題がないと伝える
  7. 2013年11月26日 エドウィンが事業再生ADRを申請
  8. 2013年11月26日 エドウィンのグループ会社28社 金融債務のある16社もADRを申請
  9. 2013年12月初旬 フィオルッチ 外部株主が存在しており追加で申請の予定
エドウィン倒産危機とADR申請について、2013年11月27日の東京商工リサーチが報じているので見てみましょう。エドウィンは簿外のデリバティブ損失、銀行担保や銀行預金の保全など、銀行の中でも資金回収した金額や取引に差がある可能性が極めて高いですね。エドウィンのような同族企業で、粉飾決算を行っていた企業は、グループ企業間の取引で不適切なものがでてくることもよくありますので、今後の動向に注目ですね。

エドウィンのフィナンシャルアドバイザーは、野村総研が行っているようですので経営再建に成功するのか注目ですね。野村総研がエドウィンの債権者集会で、業績や資金繰りに問題がないと発言したことが報じられていますが、本当に問題がないのであれば、足利銀行のように野村グループで出資や資金支援を行うでしょうね。

デリバティブ倒産 民主党政権の影響を見ると、エドウィンはデリバティブ取引を行っていますので、民主党政権の為替レート円高ドル安政策が想定外であった可能性はあります。エドウィンが特定銀行と為替デリバティブで損失拡大していれば、事業再生ADRの成立は困難かもしれないですね。

(4)エドウィン融資返済停止 ADR申請の理由

企業の銀行融資返済について、カードローンやクレジットカードなどと同じように、似ている点が分かりやすいので簡単に考えてみましょう。企業が銀行融資を急に断られたり、融資返済を即日求められると上場企業を含めて、かなりの企業は資金繰り倒産する可能性がありますので、通常であれば禁止されています。

武富士メリルリンチ訴訟仕組 過払い金の影響をまとめましたが、武富士は社債償還資金300億円が調達困難であったため、信託契約を含む複雑な取引を行っていました。武富士とエドウィンは、デリバティブ契約で巨額の損失を計上していることが共通しており、会社が倒産する大きな要因の一つになっていますね。

エドウィンのような粉飾決算は、銀行や取引債権者との約束を裏切ることになりますので、粉飾決算が発覚すると新規融資を断られたり、取引先の取引打ち切りが発生します。エドウィンは事業再生ADR申請により検証を目的としているようですが、デリバティブ損失で財務が悪化したならば、林原のときのよりも事業再生ADR成立は困難でしょうね。

(5)エドウィン倒産報道の影響

エドウィンが倒産したと報じるメディアがあるようですが、倒産と事業再生ADRは違いますが、報道が広がったことでブランドイメージは毀損したと言えるのかもしれないですね。エドウィンの資金繰り状況は不明ですが、事業再生ADRに失敗した場合、法的整理で倒産するのかが焦点になります。

EDWIN倒産デマの影響について考えると、倒産を早める結果になりそうですね。EDWINだけでなく、銀行融資は様々な目的で、それぞれ融資返済期間が異なるため合意形成が難しいですが、報道により経営再建が困難になったと言えますね。
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13 件のコメント:

  1. こんばんは。
    記事読ませていただきました。

    エドウイン倒産は免れない、ということでしょうか?

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    返信
    1. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      エドウィンは、粉飾決算の話がでてから、1年近くが経過していると思います。

      エドウィンが粉飾決算発覚後に、清算貸借対照表に近いものをだしているのか気になりますね。
      エドウィンは倒産していないということは、決済に必要な現金が、融資を受けていない銀行の預金口座にあるのも一つ考えられます。

      エドウィンの創業家が支援しているのかは不明ですが、融資に保証をしているのかどうかも重要なポイントかと考えております。
      エドウィンが倒産するのかどうかは、その辺りの事情もあると思いますが、あまりにも複雑化した場合、債権者破産の申し立てがあるのか注目しています。

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    2. ≫PPさん
      返信ありがとうございます。

      今回の再建計画の中身には、人件費削減は含まれていると思いますか?

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    3. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      エドウィンの経営再建計画ですが、事業再生ADRを申請したということは、再度計画は練り直しと思います。

      エドウィンのグループ内取引や創業家との関係を理解していないので、なかなか難しいところと思います。

      エドウィンが粉飾決算でリスケを行っていると言うことは、グループ解体を含めて、銀行は厳しい姿勢で臨むと思われます。
      エドウィンの人件費削減ペースは理解していないですが、経営が存続するならば、厳しいリストラは十分ありえると考えます。

      一人当たりの平均給料=損益計算書の給料÷従業員数

      エドウィンの前年の決算で給与の金額を取り寄せたうえで、一人当たりの給料を割り出すという手法がありそうですね。
      エドウィンが提出している経営再建計画の人件費を、現在の従業員で割れば、簡易的ですが人件費削減の動向が掴めるかもしれないですね^^

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    4. ≫PPさん
      PPさん、こんばんは。
      EDWINは去年の夏頃に報道されてから一年以上が経ちましたが何も決まらず、事業再生ADR申請をしています。
      今回のADR申請から解決までは、以前と同じくらい(一年程)の時間がかかるのでしょうか?

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    5. >匿名さん
      匿名さん、おはようございます。
      エドウィン倒産危機の報道から、1年以上が経過した結果の事業再生ADRとなってますよね。

      エドウィンについてというよりも、あくまで一般論です。
      エドウィンは粉飾決算による発覚から、1年以上経過していますが、スポンサーなどいないのが現状です。

      売上高の明細を確認する必要はありますが、取引先に対して信用不安が発生している可能性が高いので、事業拡張とはならないと思います。
      エドウィンのCMを見かけるのかは不明ですが、テレビCMなども以前のように行われておらず、有名タレントの起用など、広告宣伝費にお金をかけることは不可能になっているのではないでしょうか。

      事業再生ADRは1年も時間がかからないのではないかと推測しています。
      エドウィンだけでなく、事業再生ADRは銀行の意見がまとまらなければ、成立することは不可能です。

      エドウィンの事業再生ADRに関する、バンクミーティングの1回目が開催されれば、経営再建の動向についてはっきりするのではないでしょうか。
      エドウィンがこの1年間のように、資金繰り倒産がなかったとしても、経営拡大は困難であると思います。

      エドウィンとブランド力は異なるものの、ユニクロやGU、しまむらなどファストファッションの出店攻勢が続いていおり、低価格でジーンズは購入可能となっています。
      EDWINは経営再建を急がなければ、お客様から忘れられてしまうリスクが高まりつつあると言えます。

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    6. ≫PPさん
      PPさん、こんばんは。

      ここからエドウインは、再建計画を早期に進めなければ倒産の可能性が高くなるのですね。
      であれば年明け以降、また何かしら動きがあるかもしれませんね。

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    7. >匿名さん
      匿名さん、おはようございます^^
      エドウィンの経営再建計画ですが、匿名さんの仰る通りと思います。

      エドウィンのADR申請は、倒産ではないですが、銀行団の全てを毎回説得できなければ、ADRは即座に破綻することになります。
      エドウィンの現状を考えると、債権者の納得を得る経営改善計画は、創業家の私財提供などを含むものと妄想していますが、非常に難しいと考えています。

      エドウィンの債権者からすると責任の所在が不明確ですので、民事再生法か会社更生法の申請により、管財人によって強制的な責任追及を望む声があがるのも自然と思います。
      エドウィンは、亡くなった会計担当者の責任のように報じられていますが、粉飾決算はそれよりも以前から行われているように思えます。

      エドウィンだけでなく同族企業ではよくある一般論ですが、グループ間の資金移動で不自然のものがあれば、背任を含めて追求が行われる可能性があるのではないかと妄想しています。
      エドウィンのスポンサー企業の可能性として、大手企業が報じられていましたが、法務リスクがあるのであれば一度倒産しなければ、ブランド購入も厳しいのかもしれないですね。

      エドウィンのブランドについて現実問題を考えると、素晴らしいものとは思いますが、生活必需品ではないと思います。
      エドウィンは経営再建が遅れていますが、ブランド価値は消費者が忘れていくことによって低下しているように思えます。

      伊藤忠やワールドなどは、多数のブランドを保有している会社ですので、エドウィンのブランドを獲得するよりも、上場企業として、法務リスクを避けることを優先すると妄想しています。
      エドウィンは事業再生ADRを申請していますので、銀行団に対して、ADRに関する債権者集会の日程を、いつに指定したのか気になりますね。

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    8. ≫PPさん
      あけましておめでとうございます。

      新年早々ですが、エドウインについてです。

      ADR申請以降も新聞に記事がのっていたそうです。
      内容としては、スポンサー候補が正式に決まったそうです。候補が正式にです。
      ここまでくると、あとは入札金額やスポンサー側の受け入れ(?)体制次第でスピーディーに事が進むのではないかと
      素人ながらも考えてしまいます。
      ただ、前回PPさんが仰っていたようにこれだけ問題を抱えている会社を上場企業がすんなりと買い取るとも思えません。
      結局、今までと同じようにズルズルと長引きますかね?

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    9. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      明けましておめでとうございます^^

      エドウィンのADRについて、先に私見を申し上げると、ADRの合意には時間がかかると思います。
      エドウィンは再生が遅れており、日々、ブランド価値は低下しているのかなぁというのが雑感です。ユニクロやしまむらが興隆していますしね。

      エドウィンのADR申請後に、スポンサー候補が名乗り出たのですか。
      エドウィンが民事再生法を申請した場合と、事業再生ADRの申請では大きく異なる点があるのかなぁと思います。

      エドウィンについて単純に申し上げれば、経営陣が誰も責任をとっておらず、経理課長に責任をなすりつけただけに見える点はあり得ないですね。
      エドウィンは同族企業と言っても、デリバティブ契約は社長や取締役会の合意などが不可欠ですので、何も前進していないのが現状かなぁというのが私見です。

      銀行がどこまでやるのかは不明ですが、エドウィンは粉飾決算と債務超過ですので、担保や差し押さえするものがなければ100%不良債権となっています。
      銀行融資が100%不良債権となっている中で、経営者の責任追及を行わなければ、銀行役員は債権放棄による利益供与で株主代表訴訟のリスクもあるのではないかと思います。

      エドウィンは、そこまでして救済する価値はないですね。
      エドウィンは公共性が高くないですし、企業規模も超巨大と言うほどでもありません。

      エドウィンのADRがまとまるのか不明ですが、スポンサー企業の買取金額にもよるのでしょうね。
      事業再生ADRは、全銀行の同意が必要ですし、債権者破産申し立てや刑事告発の可能性もあると思いますよ。

      削除
  2. エドウインの銀行債権について、私見を補足します。
    エドウィンの債権は100%不良債権と申し上げましたが、銀行の決算がよいこともポイントですね。

    アベノミクスによる景気回復で、銀行は利益を十分にあげていることもポイントと思います。
    エドウィンの債権を不良債権として、既に償却している可能性があるということですね。

    エドウィンを倒産させて、創業者一族の責任を民事訴訟と刑事訴訟で追及して資金回収することを、同義的な面や経済合理性の観点から判断することは十分にあり得ると思います。

    エドウィンのスポンサーに名乗りをあげた企業があったとしても、ブランドを買い取りたいだけで、借金は切り離す前提と思いますよ^^
    銀行が不良債権の償却をしていれば、エドウィンは粉飾決算で債務超過ですので再建を助ける必要性は皆無ですし、便宜をはかる可能性は低いと予想しています。

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    返信
    1. ≫PPさん
      PPさん、こんばんは。

      PPさんの私見によると、エドウインの場合はADR申請だろうと民事再生だろうと、どのみち倒産するということでしょうか?
      そもそも「ADR申請」で再建できた事例が過去にあったのでしょうか?
      JALでさえADR申請は不調に終わったとネットにのっていました。

      ・・・エドウインは一体何のためにADR申請をしたのか。
      単に結論を長引かせるために申請したのではないかと勘ぐってしまうのですが・・・

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    2. >匿名さん
      匿名さん、こんばんは^^
      エドウィンのADR申請ですが、厳しいだろうなぁと考えております。

      エドウィンだけでなく、事業再生ADR申請に失敗すれば、民事再生を申請して倒産するかもしれないですね。
      事業再生ADR申請に失敗した事例と認められた事例はありますので、林原とアイフルの事例に興味があれば、ご参照。
      http://funshoku.blogspot.jp/2013/10/aiful-tousan-sinsa.html
      http://funshoku.blogspot.jp/2012/12/hayasibara-tousann-genninn-sinsou.html

      アイフルの場合は、エドウィンと異なり消費者金融ですので、ローン債権は返済計画の見込みが立つのかなぁと考えています。エドウィンは物販ですから、厳しいのではないかと。

      林原は粉飾決算を行っていたものの、キャッシュフローは黒字であり、技術が有望視される中で事業再生ADRを申請して失敗しています。
      エドウインの事業再生ADR申請までの直近1年間の経緯は不明ですが、銀行が納得するのかある意味、注目ですね。

      エドウィンのADR申請は、匿名さんの仰るとおり、時間稼ぎであると思いますよ。

      エドウィン経営陣にとって特別背任だけでなく、粉飾決算ですので債権者から資産供与を求められる可能性が十分にある事例であり、その可能性は十分にあると妄想しています。

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