菱山洋紙店倒産の理由

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菱山洋紙店倒産の理由を見ると、企業買収後の資金繰りをどのように行うのかは難しいことがわかります。菱山洋紙店倒産後の負債変動の可能性が示唆されていますが、グループ間取引の勘定整理のためか、倒産を引き伸ばすために粉飾決算を行っていたかに注目でしょうね。

(1)企業買収後の倒産

企業買収後に、本業の不調や経営計画通りにいかなければ、借入の返済が困難になり倒産に結びつくことがあります。

菱山洋紙店倒産の理由を見ると、上記の事例と似ている部分があり、企業買収により会社成長の難しさが浮き彫りになっているのではないでしょうか。

(2)菱山洋紙店とグループ会社

菱山洋紙店倒産の理由について、2013年3月4日の帝国データバンクが、和洋紙卸 株式会社菱山洋紙店など4社事業停止、弁護士に一任負債30億円と報じているので見てみましょう。
「静岡」(株)菱山洋紙店(資本金5000万円、浜松市東区下石田町1850-5、代表内山智一朗氏)と関係会社である(株)丸二紙店(資本金3000万円、静岡市清水区石川71、同代表)、(株)内山紙店(資本金1500万円、浜松市東区下石田町1850-5、同代表)、(株)渥美屋紙店(資本金1000万円、浜松市東区下石田町1850-5、同代表)の4社は、2月28日に事業を停止し、事後処理を佐々木成明弁護士(浜松市中区板屋町522、電話053-455-0727)ほかに一任した。今後については、グループの財務諸表等を精査したうえで、再建型手続きを取ることが可能か検討中。 
菱山洋紙店は倒産しましたが、グループ会社について見てみましょう。
  • (株)菱山洋紙店
  • (株)丸二紙店
  • (株)内山紙店
  • (株)渥美屋紙店
菱山洋紙店とグループ会社を見ると、代表者がすべて同一人物であり、同一の企業グループであることが判断できると思います。

菱山洋紙店が倒産しましたが、財務諸表等を精査している途中であり、グループ内の取引関係や子会社勘定の整理や粉飾決算などがあるのか気になりますね。

(3)菱山洋紙店の会社概要

(株)菱山洋紙店は、1950年(昭和25年)5月創業、2004年(平成16年)10月に法人改組した和洋紙卸売業者。業歴62年余りを有する老舗紙問屋であり、販促物チラシやカレンダー、自治体の刊行物などに使用される和洋紙の卸売りを主体とするほか、紙類の加工請負も手がけ、長年の業歴を背景に地元大手印刷会社を中心に営業基盤を築いていた。 
菱山洋紙店の会社概要について見てみましょう。
  • 1950年(昭和25年)5月創業
  • 業歴62年の老舗紙問屋
  • 和洋紙の卸売り、紙類の加工請負
  • 地元大手印刷会社を中心に営業基盤
菱山洋紙店の特徴は、長い業暦により、大手印刷会社を取引先として獲得していることです。菱山洋紙店は倒産しましたが、大手企業との取引は信頼に繋がりますが、資金の回収条件が厳しいことを意味します。

大手企業との取引のメリットとデメリットについて簡単に考えてみたいと思います。

(4)大手企業との取引 メリットとデメリット

メリット

  • 信頼に繋がる
  • 会社が倒産し難いため、不良債権になり難い
大手企業との取引のメリットは、その信頼であると言えます。大手企業は、中小企業と比較して、突発破綻の可能性が低く、倒産しにくいため資金の回収は比較的安心と言えます。

デメリット

  • 価格交渉が厳しい
  • 資金の回収条件が悪い可能性がある
大手企業との取引について、デメリットを考えると、交渉ごとですので、中小企業相手よりも取引条件が厳しくなり易い点です。

菱山洋紙店は倒産しましたが、売掛金や受取手形の回収期間や割合、価格交渉が厳しかったのかどうかは重要なポイントです。

(5)倒産前の買収はシナジー効果が高い

M&Aにも積極的で、2009年6月には(株)丸二紙店、2011年2月には(株)内山紙店、同年9月には(株)渥美屋紙店を相次いで買収。いずれの企業とも得意先が重複する部分が少ないことも寄与して、2012年8月期には年売上高約40億9100万円を計上していた。 
菱山洋紙店は倒産前に企業買収を積極的に行っています。
  • 2009年6月 (株)丸二紙店を買収
  • 2011年2月 (株)内山紙店を買収
  • 2011年9月 (株)渥美屋紙店を買収
  • 買収企業の得意先重複が少ない
菱山洋紙店の買収先の特徴は、取引先の重複が少なく、売上高を押し上げる効果が高かったようですね。菱山洋紙店倒産の引き金は、買収後の仕入条件の変更が引き金になっていますね。

(6)仕入条件の変更による運転資金の増加

しかし、関係会社の仕入れを一本化したことで運転資金需要が急増
菱山洋紙店倒産の理由の一つに、仕入れを一本化したことが触れられていますが、どういうことなのか考えると要因は3つあると思います。
  • 支払時期が、特定の日や月に支払が集中した
  • 買掛金や支払手形の割合が変わった
  • 買掛金や支払手形の支払サイト(支払期間)が短かくなった
経常運転資金について考えると、仕入の条件が悪化すると必要な運転資金は増加します。菱山洋紙店倒産の理由の一つに、運転資金需要増加が指摘されていますが、仕入条件が悪化した理由が気になりますね。

菱山洋紙店が仕入れ条件を変更した理由の一つとして考えられるのは、値下げによる仕入れコスト削減が理由の可能性があります。

(7)倒産前の銀行借入の資金使途が多様

金融機関や代表親族などからの借り入れで凌いできたものの、積極的なM&Aによる買収資金、不動産購入資金、関係会社に対する貸付金などによる借入負担が重く、資金繰りが限界に達し、今回の事態となった。 
菱山洋紙店倒産前の資金需要について、見ると多種多様な資金使途があることが分かります。
  • 買収資金
  • 不動産購入資金
  • 関係会社貸付金
  • 経常運転資金の増加(仕入資金の増加)
菱山洋紙店の資金需要について見ると、多種多様な資金使途が並んでいます。菱山洋紙店が、銀行からどういった借入を行ったのかは不明ですが、もしも、個別の資金使途ごとに借入を行っていたとすれば、資金管理が複雑になり、銀行交渉に追われていた可能性があります。

(8)負債金額変動の可能性の理由

負債は、(株)菱山洋紙店が2012年8月期時点で約25億円。4社合計では負債約30億円だが、今後変動する可能性がある。
菱山洋紙店は倒産しましたが、負債金額変動の可能性が示唆されています。
  • 関係会社貸付金
  • グループ間の売掛金と買掛金
  • グループ間の受取手形と支払手形
菱山洋紙店の負債金額変動があるとすれば、上記の点です。菱山洋紙店が倒産を引き伸ばす為に、粉飾決算をしていた場合は変動があるのかもしれないですね。

菱山洋紙店倒産の理由を見ると、企業買収による会社成長は、買収後の資金繰りを安定させることの難しさを現しているのではないでしょうか。
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