ACCESホームページより
(1)粉飾決算により、利益の計上
2012年12月25日の産経新聞が事件概要を報じているので、内容について見てみましょう。判決によると、別のアクセス元社長の男=同罪で有罪判決=と共謀し、平成17年3月期決算でシステム開発関連の売り上げを前倒しして計上し、約9億9200万円の純損益を約2億3500万円の純利益とする虚偽の有価証券報告書を提出。 (産経新聞)売上高の前倒し計上については、売上高の水増しの粉飾決算の方法がありますが、おそらくその通りの内容だと思います。帳簿上だけで売上高を水増しすると、資産が増えますので、業績が好調なように見えるということですね。
アクセスの事例で言えば、売上の前倒し計上により、売上高の水増しを行い、赤字を黒字に転換、純損益を約12億円改善させる事で、黒字にしています。利益を上げる売上操作の粉飾について、不動産業界を紹介しているが、考え方としては似たものであり現金の動向に注目すると、何れ限界が現れる粉飾決算ですね。
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(2)経営支援のため、外注費20億円を支出
また、支払う必要のない外注費計約19億8千万円を支出させ、会社に損害を与えた。(産経新聞)外注費支出の理由について産経新聞の記事とあわせて、日経ソリューションビジネスが、2008年11月28日に粉飾決算のアクセス前社長に有罪判決として報じているので見てみましょう。
韓国に設立したASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業会社の経営を支援するため、協力会社を通じて外注費名目で総額約20億円を拠出した(日経ソリューションビジネス)。20億円の支出は、アクセスの創業者が設立した会社に資金援助したと認定されたようですね。アクセスは上場していまずので、創業者以外も株主が増えていますが、業績が厳しい中で20億円の支出は、大きな損害と言えそうですね。
管理人が、少し気になったのは、監査法人が見抜く事ができたかと言う点です。上場企業の粉飾決算が発生するたびに、監査法人のチェック機能については気になりますが、担当先が多いことを考えると公認会計士に限界があるということでしょうね。
(3)元社長と創業者
アクセス創業者
- アクセス創業者
- 証券取引法違反と会社法の特別背任
- 懲役3年 罰金1500万円 執行猶予5年
元社長
- 日経ソリューションビジネス
- 元社長と創業者が共謀
- 2005年3月期決算で、本来なら翌期に計上すべき売り上げを前倒し計上
2008年に元社長への判決は既にでていましたが、創業者への判決が今回言い渡されたようですね。アクセス粉飾決算の概要を見ると、売上を前倒し計上することで決算書をよく見せていたということですね。
(4)上場や株価と粉飾決算の関係
- 1994年7月 大阪市中央区博労町3丁目5番1号に設立。
- 2004年12月 ジャスダックに株式を上場。
- 2008年4月 売上高の水増しなどを行い、黒字会計を偽装していた疑いが浮上。これを受け、北博之社長(52)が引責辞任、後任に松浦徹(62)が就任。
- 2008年5月 前述の粉飾決算の件について、北前社長が、金融商品取引法違反容疑で逮捕される。
- 2009年1月 ジャスダック証券取引所上場廃止。
上場の審査の際に、伝えた業績見込みよりも悪化したため、粉飾決算に手を染めたのか気になります。ベンチャー企業の株価は、市場の成長期待により大きく上昇していますので、上場初年度が赤字決算であれば株価は暴落する可能性が高いですね。
(5)監査法人の限界
上場企業の粉飾で言えば、オリンパス子会社が倒産、休眠会社であったことを監査法人が見抜けなかった事をまとめました。公認会計士の社会的な役割は非常に大きいので、上場企業に対して監査法人が信任を与えることで、一般の投資家は、アクセスの決算発表に一定の信頼性を置いていたはずです。管理人は、上場企業の粉飾決算の報道がでるたびに、監査法人は物理的に粉飾決算をチェックする限界があると思っています。アクセス粉飾決算の真相は、上場後の決算が初回でであったため、企業業績をよく見せようとしたことが要因ではないでしょうか。 スポンサードリンク
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